2010 東大オープンキャンパス最新レポート

8/4・5、東大 本郷・駒場キャンパスにおいてオープンキャンパスが行われた。
今回は、8/4に東大 本郷キャンパスで行われたオープンキャンパスの模様を、現場から速報としてお伝えする。

東大本郷キャンパスの現場から

今日の天候は快晴。強い日差しと蒸し暑さで、じっとしていても汗がにじみ出てくる。
しかし、そんな蒸し暑さにも関わらず、8時前から続々とオープンキャンパスへの参加者が集まり始めた。
最寄駅の本郷三丁目の駅に近い赤門では、多数の参加者の賑わいで活気づいている。
初めて東大を訪れたと思われる高校生のグループが、東大の象徴ともいえる赤門前で記念撮影をする様子も多数見られた。

赤門をくぐり抜けると、受付場所の一つである安田講堂へ続く銀杏並木に沿って、人の流れができていた。
安田講堂受付前に着くと、9時には既に長蛇の列。参加者は同伴者と雑談を楽しみながら、開始時刻をじっと待っている。
受付時間の9:45には御殿下グラウンドの方面にまで列が伸びる盛況ぶりだった。

東大のオープンキャンパスでは、学部別の紹介のほか、現役学生による東大ガイダンスやキャンパスツアー、図書館・博物館・研究所の見学など、多数のプログラムが充実している。

学部別紹介では多くの講義や模擬授業が行われていた。
その中の一つの理学部では、理学部1号館にある小柴ホールにて、教授、准教授を中心とした教員の方や、博士課程に在籍する東大生による講演会が多数実施された。
最先端の研究内容をや、他学部と比較した理学部ならではの特色などがわかりやすく紹介されており、参加者にとっては、将来の学部・学科選びの大いに参考となったことだろう。

学部別の催しのほかには、東大生によって運営されている「東大ガイダンス」による相談会や、「女子学生コース」という女子中高生に向けた講演会・相談コーナー なども人気。
好きな科類の現役東大生や卒業生のリアルな話が聞けたり、実際に相談ができるとあって、多くの中高生が参加していた。

これらの催しはそれぞれで開始時間が設定されており、また場所も離れているため、複数の催しに参加するためには時間をやりくりしながらキャンパス内を移動する必要がある。
本郷キャンパスはとても広く、すべての施設を見学するとなるとかなり大変だが、参加者はスケジュールをうまく工夫しながら、自分のお目当ての場所を回っていたようだ。

オープンキャンパスが終了する夕方頃まで、本郷キャンパスは元気に闊歩する中高生の姿で1日中賑わっていた。



8月4日(水)東大オープンキャンパス(本郷)学部別プログラム紹介

先々週の8月4日(水)に開催された東大オープンキャンパスの本郷地区プログラムから、法学部、理学部、工学部について学部別のプログラム内容詳細をお伝えする

法学部 理学部 工学部

法学部 学部紹介

■法学部では、法学と政治学の本格的な模擬講義
法学部では10:30と14:30に模擬講義が行われた。
午前の部・午後の部ともにほぼ満席とかなりの盛況ぶり。講義開始30分前の受付開始とともに多くの高校生が会場を訪れ始め、講義室が徐々に熱気に帯びてくる。
模擬講義に使用されたのは、法学部で一番大きな25番教室。レリーフが施された演台があり厳かな雰囲気の教室である。
まず山下友信 法学部学部長のあいさつがあり、その後法学40分、政治学40分、質問時間20分の模擬講義が始まった。

■高校生も意見を求める「学生参加型」の授業を体感
法学の授業を担当したのは刑法が専門の橋爪隆教授。「刑法入門」として、そもそも「犯罪とは何か」を考える授業内容であった。
次に、政治学の担当は藤原帰一教授。「民主主義の練習問題」として参加者がわかりやすい例題を挙げて、「民主主義とは何か」「平等とは何か」を考えさせる内容であった。

最後の質問時間には教授から高校生の参加者に意見を求める質問が多く出され、本物の授業のような臨場感があった。以前の東大法学部は教授が一方的に話し、学生が板書を書き写す形式が多かったそうだが、現在では各教授が工夫を凝らし、学生の興味を引き出す授業形態に変わりつつあるという。この日の授業はまさにそれを体感できる面白い講義であった。
参加した生徒の中には講義後も友人と例題について話し合う姿が見られるなど、模擬講義が新たな視点の獲得になり、東大合格に対する思いを固められたことだろう。

■歴史背景も含めた解説つきで、豊富な文献を展示
法文1号館ラウンジでは、明治新聞雑誌文庫および法制史資料室が保有する文献展示が行われていた。明治新聞雑誌文庫や法制史資料室資料については、決まった時間にそれぞれ資料の解説が行われていた。
14:00からの解説では、法制史資料として並ぶ「令集解」「御成敗式目」「甲州法度之次第」「御触書寛保集成」「公事方御定書」など誰もが日本史で触れたことのある資料について、どういった歴史背景のもとにつくられた法なのかが解説され、生徒や一般参加者が興味深く聞き入っていた。
さらに幕末から明治にかけての新聞に関する展示では、当時の新聞売りが使用した新聞箱や半被なども展示され、保有資料の幅広さと豊かさに驚かされる。参加者は現在の法を学ぶ一方で、歴史的な法についても深い知識を得られる環境があることを感じとれたことだろう。


理学部 学部紹介

■理学部の学部紹介は、学科別に模擬講義や講演を実施
理学部は、物理学科、天文学科、地球惑星物理学科・地球惑星環境学科、生物化学科・生物情報科学科のAブロック、数学科のBブロック、情報科学科のCブロック、化学科のDブロック、生物学科のEブロックに分かれ、様々な講演が行われていた。
メインのAブロックは、理学部1号館・小柴ホールで開催されている。
まず入ると、そこには受付。エントランスには研究成果を紹介した展示物があり、多くの人でにぎわっていた。

■ノーベル物理学賞受賞の小柴特別栄誉教授にちなんだ小柴ホールにて、現役の学生による講演会が開催
理学部では、各科の教授陣による模擬講義だけでなく、現役の学生による講演会が行われた。175人という収容数を誇る小柴ホールの一室ではあったが、開始30分ほど前から続々と高校生が集まり始め、立ち見が続出するほどの盛況ぶり。

現役東大生による講演は、沙川貴大さん(物理博士課程3年)による「よみがえるデーモン―情報と物理の出会い―」、泉谷夏子さん(天文学博士課程1年)による「元素の起源―私たちはどこから来たのか―」の二つ。
前者はナノサイエンスとナノテクノロジーの進歩により、原子や分子を一つずつ操作して情報処理をすることが可能になった現代では、「物質」だけでなく「情報」も物理法則に従うことが明らかになっている、最先端の研究について紹介。
一方、後者は元素という切り口を介して宇宙の起源の謎に迫ろうとするもので、宇宙空間内で元素が合成される過程をシミュレーションすることによって、遥か昔の宇宙誕生(ビッグバン)の姿を明らかにできると研究内容の紹介だ。
物理学者のマクスウェルが提唱した、情報をエネルギーに変換することができる思考実験の「マクスウェルのデーモン」や、超新星の数十倍のエネルギーを持つ「極超新星」など、高校生にとっては聞き慣れない専門用語が飛び交う講演であったが、会場内の参加者は一様に目を輝かせて講演者の言葉に耳を傾けていた。

■女子学生向けのイベントも充実
理学部といえば、文系の学部と比べて男性が多い傾向があるが、今回の講演会では参加者の生徒と運営側の在学生の両者ともに、女性の姿が多く見られた。
壇上で堂々と研究内容を発表する女子学生の先輩の姿を見て「女性研究者って、かっこいい」と、憧れの気持ちを持った高校生も多かったのではないだろうか。
小柴ホールの入口近くでは「女子中・高校生のための進学相談」が開催されていた。男子学生が高い割合を占める理学部だけに、女子学生は進学にあたって学生生活への不安もあるのだろう。現役の先輩に直接、相談できるとあって全てのブースが埋まっており、この一角は女性特有の華やかな雰囲気が漂っていた。


工学部 学部紹介

■工学部では学科ごとに豊富なプログラムを展開
学科の種類が多い工学部では、学科別に9つの講義のほか、研究室見学や学生による相談室が設けられていた。
そのなかの一つ、航空宇宙工学科の講義では、JAXAの教授であり、はやぶさ計画のプロジェクトマネージャーである川口淳一郎教授による「はやぶさ探査機と、太陽系大航海時代について」の講義が行われた。

■「はやぶさ」の偉業に感動した参加者で、満席の講義室
「はやぶさ」は、今年の6月、7年間の航海を終えて地球に帰還。地球圏以外の天体に着陸して往復飛行したのは、史上初めてのことだった。マスコミなどのニュースを通して話題になったのは記憶に新しい。
定員350名という比較的余裕のある定員にも関わらず、整理券は事前に完売。15分前に会場に入ると既に満席に近く、空席を探すのも難しい状態だった。
教授による簡単なプロフィール紹介のあと、川口教授の講義がスタートした。
話題の中心は、飛行中の問題をどのように乗り越えたか、また「はやぶさ」探査機の目的である「小惑星のサンプルを持ち帰る」ことにより何がわかるのかについての2点であった。

■「はやぶさ」が乗り越えた課題を通して、今の勉強の意味を知る
地球の内部を構成している物質は実は現在でも未確認であり、マグマなど地球内部から噴出した物質を分析しても、地球の比較的表面にあるマントルを構成する物質しか確認することができない。
しかし、近地球型とよばれる小惑星「イトカワ」のような小天体では、地球の内部物質にあたるものが地表に露出しているため、このサンプルを分析することで、地球の内部を構成している物質を知ることができ、ひいては生命の起源を探ることができるとのことであった。
このような偉業が成し遂げられたのも、「はやぶさ」探査機が様々な工学知とそこから生み出された技術の結集によってできているからである。
講義の中では「はやぶさ」の設計や「イトカワ」をめざすために必要な計測機器、動力の不足した「はやぶさ」が地球へ戻るために使った、例えば、太陽光の圧力などの計算、落下速度・落下地点予測などを丁寧に説明。
これらの物理学の公式や数式は、高校生が日々の授業の中で習うものであり、科学の最先端の事象の中で、現在、習っている数式が使われていることを参加者が実感できるように工夫されていた。
高校生にとっては、今勉強していることが、ひいてはこうした人類の新しい試みにつながることが実感でき、目の前の勉強と未来の夢を結び付けてイメージすることができたのではないだろうか。

■今回お送りした東大キャンパスレポートはいかがでしたか?
オープンキャンパスに参加した人は、参加した時の気持ちを思い出していただけただろうか。
また、オープンキャンパスに参加しなかった人も、当日の熱気を感じていただけただろうか。
これを機会として、東大への思いを新たにし、さらに次の一歩へ進んでいこう。
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