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2011年度
入試速報
京都大学
入試問題の分析と対策

前期理系生物

■概要

試験時間:1科目の場合90分(教育学部の理系のみ),2科目の場合180分 大問数:4題

■京都大学の生物(前期理系)で求められる力

○基本的な知識,実験結果の分析力,考察力,論述力。

与えられた実験結果を分析して考えをまとめていく問題が中心ではあるが,特に,計算問題では,単純に計算するだけでなく,計算結果の持つ生物学的な意味など,生物現象と照らし合わせる力が必要になる。何よりも,生物の基本的な内容を正確に理解していることが前提であり,基本的な知識やデータを正しく解析する力が求められる。論述問題では,比較的長文の問題が多く,短時間で文章をまとめる力が求められる。

○計算力,描図の力。

設定条件をもとに計算する問題は頻出なので,データを正しく理解して確実に計算する力が必要である。また,グラフや模式図を描かせる問題も出題されることがあるので,描けるようにしておきたい。

■最近5年間の出題状況 出題分野(数字は大問番号)
科目 分野 小分野 2011 2010 2009 2008 2007
生物I 細胞 細胞の機能と構造


3



2
細胞の増殖と生物体の構造






生殖と発生 生殖細胞の形成と受精

2



4

1
発生とその仕組み

2,4



1

1
遺伝 遺伝の法則

3

4


3

3
遺伝子と染色体

2



3


環境と動物の反応 体液と恒常性


3

2



刺激の受容と反応


1


2

2
環境と植物の反応 植物の生活と環境



3

4


植物の反応と調節




4


生物II タンパク質と生物体の機能 生物体内の化学反応と酵素


2




同化と異化


2,3

3



タンパク質の機能

1



2


遺伝情報とその発現 遺伝情報とタンパク質の合成


1

1

2

3
形質発現の調節と形態形成

1



1


バイオテクノロジー

1,3




3
生物の分類と系統 生物の分類




4

4
生物の系統


1




生物の進化 生物界の変遷

4





進化の仕組み


4

4

4


個体群の構造と維持 個体群の維持と適応

4

2



4
物質生産と植物の生活





4
生物の群集と生態系 生物群集の維持と変化


2


4

4
生態系とその平衡




4

4

※幅広い分野からの出題であるが,遺伝やDNAなど分子レベルの内容は頻出である。
※生物IIの選択分野である生物の進化と分類,生物の群集と生態系が共通問題として出題されている。2009年度は生物の進化のみが,2010年度,2011年度では,生物の進化,生物の群集と生態系の両方から出題された。

■最近5年間の出題状況 問題形式
2011 2010 2009 2008 2007
図表の数

11

10

7

13

12
設問 短文

2

2

0

0

2
~50字

2

1

2

1

0
~100字

7

2

4

8

6
~150字

3

1

1

2

5
~200字

0

2

0

1

0
空所補充

23

13

11

32

3
選択

12

12

9

2

5
計算

5

8

20

2

1
その他

2

4

2

1

7

※2010年度に比べ,空所補充による知識問題が大幅に増加した。
※2010年度に比べ,論述問題が増加し,計算問題がやや減少した。

■2011年度入試の特徴

○論述力とともに広範囲にわたる知識を重視。

論述では,2010年度に続き,字数制限のある論述問題はないが,データや実験結果を考察する論述問題,知識をもとにした論述問題とも,長文での解答が要求されている。また,2011年度は,2010年度に続き,1つの大問内で,複数の単元の内容が扱われており,全体として広範囲にわたる知識が試される問題となっている。

○知識,考察力など幅広い力が求められる。

特定の分野の細かい知識だけではなく,生物に関する幅広い知識に基づき,個別の事例について実験条件を理解し,その結果やデータから考察する力が要求されている。よく知られた一般的な実験や目新しい実験などいろいろなタイプの実験を総合的に分析できるかが試されている。

○生物IIの選択分野は共通問題として扱う。

生物IIの選択分野については,2009年度は生物の進化と分類が出題されたが,2010年度,2011年度では,生物の進化と分類,生物の群集と生態系の両方から出題された。両者は選択問題ではなく共通問題として扱われているので,これらの分野に関しては両方とも学んでおくことが必要である。

■2011年度 大問別出題分析
大問 テーマ 難易度 内容と求められた力
問題I 遺伝子組換え・
筋収縮とタンパク質

標準

【出題内容】
・PCR法と遺伝子組換え実験
・筋収縮,筋弛緩の仕組みとアセチルコリン受容体の開閉
【求められた力】
・生物現象や実験方法に関する細かい知識
・文章内に与えられた内容を正確に解釈する力
・状況証拠をもとに現象を推測する力
問題II 生殖と発生・遺伝

標準

【出題内容】
・ほ乳類の卵形成と初期発生の過程
・X染色体不活性化と発生
・生殖巣と性分化
【求められた力】
・自分の持つ知識と新たに与えられた条件を総合し,生物現象を解釈する力
・対照実験との比較によってデータを考察する力
問題III 遺伝・分子遺伝

標準

【出題内容】
・自家受精による純系の作製
・遺伝子マーカーを用いた遺伝子診断
【求められた力】
・与えられたデータをもとに計算する力
・与えられた条件と実験結果の枠組みの中で,実験結果を解析する力
問題IV 進化・生存曲線

標準

【出題内容】
・植物の進化と重複受精
・昆虫の生命表と生存曲線
【求められた力】
・自身の持つ知識とデータを結びつけて考察する力
・与えられた文章の内容を解釈し,データと総合して生物現象を解釈する力

※「難易度」は,合格者の正答率が6割程度だと京大特講編集部が推測したものを「標準」とした。

■合格に向けての対策

○教科書レベルの基礎知識は確実に得点する。

京大の生物の問題はすべて難問というわけではなく,用語の問題や論述問題の一部など教科書レベルの基礎知識で解答できる問題が,少なからず含まれる。これらの問題は確実に得点することが大切である。用語や代表的な実験は整理して,正確に覚えておこう。

○実験データを正確に分析できる力を持つ。

京大の問題は実験考察問題が中心である。実験結果から何がわかるのか,正確に分析できるようにしておこう。まずは,歴史的な実験(発生ならシュペーマンの実験など)について,実験結果と結論の関係を理解すること。そして,『京大特講「図表解析」で攻略する京大生物』や過去の入試問題などの演習を通じて,初見のテーマを扱う問題でリード文や図表を読み解き,分析する訓練をしていこう。また,京大では考察の過程として難しめの計算問題が出題されるが,ただ機械的に計算して終わるのではなく,計算結果と生物現象を結びつける訓練を積んでおこう。

○書く力をつけて論述問題に強くなる。

比較的,長い論述問題が多いので,短時間で自分の考えをまとめる力が必要である。まずは,短めの知識論述問題(例えば,原核細胞の特徴を50字以内でまとめる)を,問題集などで特訓しよう。その後,字数を増やして文章を書くことに慣れてから,実験考察問題の論述にとりかかろう。

○生物の持つ仕組みだけではなく意義を知ることが重要。

京大では,生物の仕組みや知識を問うだけではなく,その仕組みや構造が何のためにあるのか,どのように生存・繁殖に役立っているかなど,適応という生物学の根本を問う問題が多い。このことを意識して学習に取り組みたい。

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