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2011年度
入試速報
京都大学
入試問題の分析と対策

前期理系数学

■概要

試験時間:150分 大問数:6題

■京都大学の数学(前期理系)で求められる力

○論理的に解法を構築する思考力と,その考えを解答に表現する発信力が求められる。

「問題を解くのに必要な定理・公式・解法を素早く判断し,適用する力」, 「解答を厳密かつ論理的に書く力」が求められる。いかに,解法を構築し,答案に発信できるかが問われているのだ。 また,京大は誘導が与えられないことが多いので,解答のストーリーづくりが重要となる。 最初から最後まで自力で考えて解答をつくる力を養いたい。

○幅広い分野の理解や一歩進んだ知識が必要。

京大数学では,微積分,図形,整数問題,確率,行列など幅広い分野から標準的な問題が多く出題されるので, 苦手な分野をつくらないようにしたい。各分野の土台がしっかり身についているかが問われているのだ。 問題は標準的なものが多いので,定理・公式や頻出の解法を,まずは完璧に理解するようにしよう。 また,計算手法や考え方を知っていれば効率化が図れるが,知らないと大変煩雑な計算を強いられる問題も出題される。 まんべんなく解法をマスターし,どんな問題にも対応できるようになろう。

■最近5年間の出題状況
テーマ 2011 2010(甲) 2010(乙) 2009(甲) 2009(乙) 2008(甲) 2008(乙) 2007(甲) 2007(乙)
方程式・不等式










2次関数










図形と方程式










三角比・三角関数










指数関数・対数関数










極限










微分法










積分法










場合の数・確率










平面図形










空間図形










平面ベクトル










空間ベクトル










数列










行列










2次曲線










極座標










論証










整数問題










※2007~2011年度入試における出題範囲を一覧とした。
※○は1題,◎は2題以上の大問でそのテーマの力が問われたことを示す。(解答で用いられる知識は解法による。ここでは,受験生が試験本番で実際に使えると京大特講編集部が判断した解法をもとに,テーマのカウントを行っている。)
※2007~2010年度は,理系は甲・乙の2つに分かれていたため,両方掲載した。

■2011年度入試の特徴

○難易度は2010年度より易化し,ミスが許されない問題セットであった。

第1問~第3問は易からやや易, 第4問~第6問は標準からやや難の難易度であったが,全体としては昨年度理系・乙に比べ易化しており, 非常に取り組みやすかった。したがって,受験者の平均点は高くなることが予想され,ミスや勘違いなどが合否を左右しうる問題セットであった。 第1問では,独立した2つの小問による出題形式が復活した。

○整数問題が出題されなかった。平面の方程式の利用を意図した問題が出題された。

第1問~第3問は基本的な問題であり,合格するためには完解を必要とする出題であった。 第4問は不等式の証明であるが,数学的帰納法を利用すればよい。数学的帰納法は京大で頻出なので,十分な対策を講じておきたい。 第5問は,京大で特に出題範囲として指定されている平面の方程式を用いるべき空間図形の問題であった。 十分に対策していた受験生には取り組みやすかったかもしれないが,問題セットの中では差がつきやすい問題であった。 第6問は,当たり前のようなことを論証する問題で,京大らしい出題であった。 幾何の基本的な定理・公式を自分で証明できるようになっておくことや,京大の過去問でこういったタイプの問題に当たるなどして,論述力を鍛えておきたい。 頻出の整数問題が,今年度は出題されなかったが,これまでの傾向からして来年度以降は出題される可能性が高く,対策は怠ってはならない。

■2011年度 大問別出題分析
大問 テーマ 難易度 内容と求められた力
第1問(1) 確率


基本的な確率を求める力が問われた。

9枚のカードから異なる2枚を選ぶという試行を2回繰り返したとき, それぞれその2枚のカードの小さいほうの数字が2回とも一致する確率を求める問題。 全事象の根元事象の数と,条件に適する根元事象の数を求めて, 確率を計算する基本的な問題である。
第1問(2) 積分法


基本的な定積分を計算する力が問われた。

置換積分によって,根号を含む関数の定積分を求める問題。 2つの定積分に分割すると,一方は,根号の中のと 根号の外のに着目して置換積分を行えばよい。 もう一方は,を含む定積分で, と置換するか, 半径が の円の面積を利用する解法が考えられる。
第2問 行列


1次変換による点の移動の様子を把握する力が問われた。

未定な成分をもつ行列と,その行列によって表される1次変換による点の移動に関する条件が与えられていて, それらから,その行列の成分を求める問題。1次変換による点の像が求められれば,難なく解ける基本問題である。 なお,計算途中で3つの点を頂点にもつ三角形の面積を求める必要があるが, の公式や, ベクトルを用いる方法など,いろいろな方法が考えられる。
第3問 積分法

やや易

囲まれた図形を正確に把握する力と効率よい計算力が問われた。

絶対値を含む2次関数のグラフと直線で囲まれた部分を正確に把握して,面積を計算する問題。 2つのグラフの交点の位置や上下関係に注意し面積を求める式を作る。 定積分の計算では分数の値を代入することが多くあるので慎重な計算力が求められる。 また,曲線と直線の囲む部分の面積を求める際は,公式 を使って効率の良い計算に持ち込むこともできる。
第4問 数列

標準

数学的帰納法を用いて証明する論述力が問われた。

2以上の整数に関する不等式を数学的帰納法を用いて証明する問題である。 のときの仮定を用いて, のときに成立することを示すところがポイントで,ていねいな論述が要求される。 の条件の使い方や等比数列の和を考えることにより式の大小関係をうまくとらえることが大切である。 の場合について具体的に式にあてはめて考えるなど実験的考察を行うことで, のときに一般化できるようにする力が必要である。
第5問 空間図形
3次方程式

標準

平面と球の位置関係と,3次方程式が3つの実数解を持つ条件が問われた。

前半は空間における平面の方程式が履修できていればいともたやすい問題だが, ベクトルで処理しようとして時間がかかった受験生もいたかもしれない。 原点と平面の距離が球の半径より小さければ,平面と原点を中心とする球は共有点をもつ。 後半は取り得る値を求めるを1文字に置き換えて,解と係数の関係から3次方程式を作り, この方程式が3つの実数解を持つための条件からの値の範囲を求めればよい。 類題を解いていた受験生もいたと思うが,計算ミスには注意したい。
第6問 空間図形
論証

やや難

「四面体に外接球(4頂点を通る球)が存在するか」を題材に論証力が問われた。

同一平面上にない異なる4点から等距離にある点が存在することを示せばよい。 四面体だからといって4つの面にこだわると混乱を招く。 1つの面と,その平面上にないもう1つの頂点に注目すればよい。 証明の切り口はいくつか考えられるが,しっかりした論証を,はっきりと記述できるかが問われている。 論証力,記述力が要求される,京大らしい良問である。 日頃から,計算のやりっ放しで終えるのではなく,必要十分性に留意した記述をする習慣を身につけるようにしておきたい。

※「難易度」は,合格者の正答率が5割程度だと京大特講編集部が推測したものを「標準」とした。

■合格に向けての対策

○頻出問題・頻出解法はひと通りマスターしておく。

京大数学では例年,標準的な定理・公式や解法が理解できているかを問う問題が多い。 つまり,頻出問題・頻出解法は必ずできるようにしておかなくてはならないのだ。 標準的な問題集に何度も取り組み,頻出解法は必ず身につけておこう。 遅くとも,高3の夏までには頻出問題は解けるようにしたい。 また,数学的帰納法は毎年のように出題されているので,特に練習を積んでおくと有効だ。

○自力で解答の見通しを立てる練習をしておこう。

京大数学の特徴として,小問がない問題が多いことが挙げられる。 小問誘導に乗って解き進めていくのではなく,自分で解答の筋道をつくれる力を求めていると言える。 この対策には,過去問を利用するのがよいだろう。 まずは,比較的易しい2008年度,2011年度の過去問などで練習し,小問がない問題に慣れるとよい。

○自分の答案を客観視できるようになろう。

京大数学には,解答方針はわかっても,答案として発信するのが難しい問題が多い。 答案として発信する力をつけるには,自分の答案を客観視できる力をつける必要がある。 まずは,自分の答案を誰か他の人にチェックしてもらうとよい。 一人では自分自身の論理の誤りに気づきにくいことも多いし,論理的には正しくても,わかりづらい答案もあるからだ。 また,他者による指導と並行して,自分の答案を自分で採点する習慣もつけよう。 採点基準を見ながら自己採点することで,出題者が何を求めていたのかがわかる。 そのため,問題演習をする際は,『京大特講予想問演習・京大理系』のように,解答に採点基準が明確に記されているものを使うとよい。

○整数問題の対策をしよう。

2011年度は出題されなかったが,京大数学といえば整数問題,と言われるくらい整数に関する問題はよく出題される (最近6年間では,2010,2009,2007,2006年度に出題)。 その対策には,過去問を利用するとよいだろう。 京大理系・文系の過去問はもちろん,東大や一橋大,津田塾大,早稲田大政治経済学部など整数問題がよく出る大学の過去問にも取り組んでおくとよい。 また,『京大特講「解答戦術」で攻略する京大数学講座』では,京大でよく出る整数問題の解法を解説しているが,このような教材を用いて整数問題に対応できる力を身につけるのも有効である。 整数問題は論理的に不十分な答案になりがちなので,自分の解答と模範解答を見比べ,完全な解答が書けているかを解き終わった後に確認することも大切だ。

○普段から,最後まで計算をやりきる習慣を。

京大では計算が難しい問題は少ない。 ということは,計算ミスができないということである。 つまり,最後まで計算をやりきる力を身につけなければならない。 問題演習でも自分の手を動かして計算することを怠らないようにすること。 その際,複雑な式の扱い方の計算テクニック(文字による置き換えや次数下げなど)もあわせて身につけておこう。

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