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2011年度
入試速報
京都大学
入試問題の分析と対策

前期文系世界史B

■概要

試験時間:90分 大問数:4題

■京都大学の世界史B(前期文系)で求められる力

○各地域・時代の基本・標準レベルの知識を着実に答える力が必要。

京大入試では,アジア史・欧米史ともにそれぞれ1題は単答記述式が出題され,時代も古代から現代まで幅広く問われている。一部では細かい内容も問われるが,ほぼ教科書レベルの設問が中心である。また,その大問中で問われる小論述も,素直に事項や背景を説明するものが多い。教科書をしっかり読んで地域別・時代別に知識を整理し,各設問に確実に答える力が求められる。

○長文論述は,問題文の要件を正しく把握して答案を作成する力が必要。

京大入試では,論述問題が必ず出される。テーマはオーソドックスなものが多いので,問題文の意図を正しく読みとり,指定字数内で得点に結びつく要素をどれだけ盛り込めるかが勝負となる。また出来事の経緯を問う問題や長期にわたる歴史のタテの流れを問う問題などが頻出なので,単発の知識をただつなげるだけではなく,自分の言葉で筋道の通った説明をする力が求められる。

■最近5年間の出題状況
地域 2011 2010 2009 2008 2007
アジア






ヨーロッパ






アメリカ






アフリカ






オセアニア






地域的総合







■最近5年間の出題状況
分野 2011 2010 2009 2008 2007
政治史






国際関係史






社会経済史






文化史






雑題






※○は1題,◎は2題以上の大問でその地域と分野が問われたことを示す。

■2011年度入試の特徴

○出題形式に多少の変化はあるが,問題量はほぼ例年並み。難易度はやや易化。

大問4題で,300字の論述問題2題と,単答問題と説明問題から成る記述式問題が2題出題され,第1問・第2問がアジア史主体,第3問・第4問が欧米史主体の設問であるのは例年通りである。形式的には,2010年度まで2つのリード文が使用されていた第2問で3つのリード文が使用されていること,第4問で空欄補充の設問がやや増加していることなどが例年との相違点である。

○地図問題がなくなり,論述問題では社会経済史の知識と理解が要求された。

扱われる地域・時代に大きな偏りはなかったが,例年と比べてイスラーム世界に関する設問は少なく,第二次世界大戦後の現代史はほとんど出題されなかった。また,地図を使った問題は出されなかった。論述問題では,第1問で江南の経済発展,第3問でも1920年代の経済的な国際秩序が問われるなど,いずれも社会経済史が重視された。第3問でアメリカが取り上げられたのも特徴的であった。

■2010年度 大問別出題分析
大問 出題地域/分野 難易度 内容と求められた力
第1問 アジア(社会経済史)

標準

4世紀から12世紀までの江南の開発

中国経済の中心が移動した「過程」を説明せよという問題文に留意したい。魏晋南北朝時代,華北の混乱を避けて江南へ移住が進み南朝の歴代王朝の下で開発が活発化したこと,隋代の運河建設で華北との関係が強化されたこと,宋代には農業技術の改良や新種の導入により生産力が増大し穀倉地帯としてその経済的重要性を高めたことの3点を中心に論述すればよい。主題は江南の社会経済史だが,背景となる華北の政治動向にも着目したい。書くべき点は導きやすいものが多く,問い方はシンプルなため,難易度は標準と言える。
第2問 Aアジア(政治史・文化史)
Bアジア(政治史・国際関係史・文化史)
Cアジア(政治史・国際関係史・文化史)

A
やや易
B標準
C
やや易

アジア諸地域の歴史を古代から近代まで幅広く出題

Aは古代インド史。「マトゥラー」は,やや細かいが一部の教科書・資料集ではガンダーラとの比較で仏像写真の掲載があり,得点したい。Bは宋代の中国と周辺地域。空欄lで東南アジアの島嶼部について地理的理解が求められた。Cは19世紀後半から20世紀初頭の中国と朝鮮。「閔妃」に関しての問い方を「王妃の姓」と指定するなど,解答に注意が必要な問題があった。Bでも「市舶司」を問う空欄補充で「市舶」までを問うなど,大問全体として問題文やリード文をよく読まなければ答え方を間違えそうな問題が多く見られた。平易な問題が多いだけに,ケアレスミスなくしっかり得点しておきたい。
第3問 地域的総合(国際関係史・社会経済史)

標準

アメリカが関与した1920年代の国際秩序

2010度入試に引き続き指定語句がなかった。問題文から政治・経済の両面をバランスよく説明することに留意し,ワシントン体制,ドーズ案,不戦条約の3点を中心に論述すればよい。ワシントン体制は,「具体的な取り決め」として四カ国条約・九カ国条約の内容を述べたい。ドーズ案は賠償問題の解決だけでなく米資本の導入がドイツ経済およびヨーロッパ全体の経済復興を促進させたこと,不戦条約は米国務長官ケロッグがその締結に積極的な役割を果たし,1920年代の国際協調体制の構築に貢献したことに着目したい。
第4問 Aヨーロッパ(政治史・文化史)
B地域的総合(国際関係史)
Cヨーロッパ(国際関係史・文化史)

A標準
B標準
C標準

古代ローマ・中世西欧,近世の西欧,近世以降の東欧・ロシア

Aは古代ローマと中世西欧,Bは近世の西欧,Cは近世以降の東欧・ロシアをテーマに問われた。空欄補充が6問と例年よりやや増えた一方で,3問の説明問題の他,コルベールやヨーゼフ2世が実施した政策を問うなど,歴史用語ではなく,歴史上で起こった出来事の内容や人物の業績を答えさせる問題もみられた。これらの問題は正解が一つとは限らないため,何を解答するべきかの判断が難しかったと思われる。ただし問われている知識の多くは基本事項であるため,落ち着いて考え確実に得点したい。

※「難易度」は,合格者の正答率が5割程度だと京大特講編集部が推測したものを「標準」とした。

■合格に向けての対策

○教科書を基本とし,地域的・時代的・分野的に偏りのない学習を心がける。

設問の大半は教科書レベルで対応できるものばかりなので,教科書をしっかり学習し,基本的な知識を正確に身につけておくことが重要。地域的・時代的に幅広い出題がなされるので,偏りのない学習が不可欠である。また社会経済史・文化史の学習も怠らないようにしよう。

○最も比重の高い中国史については,細心の注意を払って学習する。

例年,大問2題を占めるアジア史のうち,必ず1題は中国史であり,もう1題も中国史が関連するケースが多い。したがって,中国史を重点的に学習しておくことが高得点獲得の鍵となる。中国の各王朝の政治的な出来事だけでなく,土地制度や税制度などの制度史,社会経済史,周辺異民族・周辺諸国家との関係など様々な視点からの学習を重ね,どのようなタイプの問題にも対応できるようにしておこう。また中国史には必然的に漢字が伴う。人名・地名・歴史用語などを漢字で正しく書けるよう練習することも必要だ。

○地域・時代をこえた学習や,戦後史の対策をする。

地域を横断的にみる問題や,一つの時代に留まらず通史的に問う問題が長文論述で出されることが多い。こういった問題を攻略するためには,地域・時代をこえた広い視点を身につける必要がある。各地域史を学習し終えたら,年表などでタテの流れ・ヨコのつながりをまとめ直しておこう。特にイベリア半島やバルカン半島など,諸民族・諸勢力の交流や対立の舞台となった地域は要注意である。戦後史についても,地域ごとの流れを整理して相互の関係をとらえなおしておきたい。また,時事問題への関心や,現代社会など他科目で学習した内容が,問題を解くヒントとなることもある。

○地図を併用した学習を進め,地理的な知識を深めておく。

地図を用いた出題はもちろん,そうでなくても地理的な知識が求められることは多い。日頃の学習から歴史地図を積極的に活用し,重要な都市や王朝の位置をその都度確認することを習慣づけておきたい。東南アジアやアフリカなど学習が後まわしになりがちな地域は,特に注意しよう。

○各時代のイメージをつかみ,「流れ」を意識した学習をする。

京大の論述はある事象の展開過程や変遷など,いわゆる「経緯」が問われるケースが多い。そのため,事項をバラバラに記憶していくのではなく,背景や影響にも留意して知識を整理しておくことが重要だ。特に歴史の大きな転換点となった事件・出来事は,時代背景から影響まで説明できるようにしておきたい。

○求められている内容を着実に文章化できる「論述力」を養成する。

論述問題は毎年出され,得点差がつくところでもあるので万全な対策が求められる。論述力を身につけるには,やはり自分で書いてみることが大切。まずは頻出テーマについて,100字程度でまとめてみることからはじめ,徐々に字数を増やしていこう。合格答案の作成には,設問で要求されていること(何について,どの程度の深さまで,どのような用語を用いるか)を読み取り,制限時間内にバランスよく文章化する練習が不可欠。京大過去問はもちろん,筑波大や早稲田大(法)など,他大学の類似した出題形式・傾向の過去問や,『予想問題集/京大文系』などで,答案作成力を鍛えよう。

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