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2008年度
入試速報
京都大学
入試問題の分析と対策

前期英語

■概要

試験時間:120(医学部医学科・総合人間学部のみ140)分 大問数:3(医学部医学科・総合人間学部のみ4)題

■京都大学の英語(前期)で求められる力

○十分な語いと確実な構文把握力を基に、高度な内容を論理的に理解する力

京大の英語入試は、大学入学以降の高度な学問を十分に吸収できるための基礎知識や、思考力、論理的な推論力が求められている。複雑な文章で書かれた高度な内容を理解するために、語い力を高め、確実な構文把握力を身につけておくことが必要である。

○解釈・再構築する力

英文和訳においても英作文(全文英訳)においても、逐語訳だけでは自然な文章にならない出題になっている。問題文の内容を自分の頭の中で解釈、再構築し、正確かつ自然な文章にする表現力が必要である。

■最近5年間の出題状況
大問 出題領域 2008 2007 2006 2005 2004

伝記:リンカーンにとっての「書くこと」の意味(約580語)

論説:社会の共通認識を子に教える重要性(約550語)

論説:古代ギリシャ哲学者の処世観(約560語)

論説:事象の背後にある数学的法則(約490語)

論説:科学に対する一般の関心と理解(約470語)

随想:未知の学問領域を研究する喜び(約600語)

論説:科学・技術教育と社会の関わり(約510語)

論説:ニュートンの実験(約650語)

論説:蛍の明滅メカニズム(約570語)

論説:写真の登場による視覚世界の変化(約230語)・車社会の問題点(約200語)

(1)子ども時代の読書体験とその有用性(約140字)(2)うるおいを求めて都会生活から田舎の生活へ(約190字)

(1)教育における教師の影響力(約180字)(2)見る者の心が反映された風景(約160字)

(1)物の見方について(約170字)(2)思い出のテレビ番組について(約160字)

(1)『時計台の朝』(約170字)(2)歯の健康維持(約180字)

(1)『木の道具 木の器』(約130字)(2)『トマトとイタリア人』(約160字)

S1.医師の説明:エアコン無しの酷暑への対処法(約320語)S2.レポート:乳児の2か国語認識(約340語) ※医(医)・総合人間のみ

S1.議事録:ある町議会の内容(約320語)S2.テレビ放送:スペイン風邪と鳥インフルエンザ(約310語) ※医(医)・総合人間のみ

S1.ニュース:血管壁の検査装置(約400語)S2.社説:生物工学(約190語) ※医(医)のみ

出題なし

出題なし


■2008年度入試の特徴

○形式に大きな変化なし

読解(部分和訳)と英作文(全文英訳)で構成され、出題形式はここ10年以上ほとんど変化なし。

○英文の抽象度が低くなりやや易化したが、訳出量はやや増加

問題文の内容が概念的ではなく具体性が高いものになり、全体として易化したが、文章量がやや増加し訳出量も増えた。そのため、例年よりも解答速度を上げる必要があった。また、難解な単語がやや多かったために訳しづらいところも何か所か見受けられた。

○英作文はやや難化

逐語訳では表現が難しいものもあり、英訳量も増えた。

■2008年度 大問別出題分析
大問 出題領域 難易度 内容と求められた力

やや難

入り組んだ文の構造を整理し、十分な語い力で自然な日本語に訳す力

下線部和訳3問。英文は論説ではなく人物伝と言える具体的な内容。和訳箇所は同格、省略、修飾等が含まれる入り組んだ長い文なので、文の骨組みを見失わず、正確に訳す力が問われている。
また、(1)のphysical toll、outworkといった見慣れない語句や、(2)のdevelopment「発達」の第2義の意味に当たる「所産」、(3)のorder「順序」の動詞としての意味である「整理する」といった、よく知っている語句が普段使われない意味で使用されているものがいくつか見られた。柔軟で十分な語い力が問われていると言える。

標準

一般教養を前提に、基本的な文法・構文の理解によって正確な日本語に訳す力

下線部和訳3問。英文はある精神科学者が自伝的に学問領域への興味を綴っている文章で、抽象度の高かった一時期とは違い非常に読みやすい。
しかし、前年度よりさらに訳出量が増え、時間が足りなくなった受験生も多かったと考えられる。和訳箇所の構文は特に難解なものもないが、(1)のthat節を伴う修飾関係、(2)の無生物主語、to不定詞の同格関係、(3)の強調構文等が含まれる長い英文の構造をきちんと押さえ、慌てることなく落ち着いて、自身の理解が相手に明確に伝わる、わかりやすい答案を作成する力が必要。
また、(1)のoverarch、detour、(2)のcomplete perspectiveなど見慣れない語句が含まれているが、例えば(1)のdetourは、以降のmain path等から「回り道」であるとわかるように、前後の英文から類推できるものが多い。こういった意味を類推した語句を、前後とうまくつながるように日本語で表現する技術が求められている。
(3)のinhibit O from -ingの語法も注目されるが、prohibit O from -ingから見当がつくと思われる。

やや難

基本的な表現の理解と、問題文の内容を解釈し自分の言葉で再構築する力

全文英訳2問。問題文の日本文は2問とも、身近なトピックで取り組みやすいものであった。(2)の「鳥や虫の鳴き声に耳をすませたり・・・季節の微妙な移り変わりを実感する」の部分は英作文の問題集等で演習していれば対応できるレベルであり、基本的な内容を英語で確実に表現できる力が求められている。
しかし、(2)の「機能第一主義の無機質な都会」「もっと心に余裕を持ち、一回きりのかけがえのない人生をうるおいのあるものにしたい」といった直訳では答えにならない箇所は、日本文の表現に惑わされることなく意味を考え、自分の知っている単語の範囲で英訳する表現力が問われている。「機能第一主義の無機質な都会」というのは、「機能的なことを第一に置いている人間味がない都会」と考えると英訳しやすいだろう。「うるおいのある」というのもenjoyableで表現が可能。逐語訳でなくても、全体としての文意を英語で表現できていれば合格レベルの答案と言えよう。


最後まで意味を追いながら聞き通す力

2つの英文が読まれ、それぞれ内容把握問題で選択式5問、記述式5問。2問とも3分を超える長い放送。内容は医学と言語認識に関する高度なものなので、何の話題かがわかっても、集中して聞かないと細かい部分が理解できない。
S1では、設問文も選択肢も問題冊子に印刷されていないので、最後まで聞き通す集中力が必要。(3)はdehydration「脱水状態」の言い換えができるかがキーとなる。出典は、MedicineNet.comというサイトに掲載されている医者の電話インタビュー。
S2では、英問英答式でやや難しい専門的な表現も含まれているため、自分の表現力を活用し、どう問いに答えるかがポイントとなる。multilingual(bilingual) environmentは果たして書けただろうか。(4)(5)はディクテーションをしようとしてはいけない。内容を要約し自分の言葉で答えれば合格レベルの点数はもらえる。出典はWelcome to New Yorkというサイトに掲載されている、中国人向けに英語の文献をわかりやすく解説した文章。
なお、入試本番では録音、放送の状態が聞き取りづらいと感じる受験生が多かったようだ。

※「難易度」は,全問題中での相対難易度。合格者の正答率が6割程度だと京大特講編集部が推測したものを“標準”とした。

■合格に向けての対策

○文構造が複雑で、比較的長い英文を精読しよう

語い・文法・構文の知識だけではなく、それらの知識を自在に使いこなして英文和訳する力を身につけよう。複雑な文構造を含む長文読解問題に時間をかけて取り組み、文章の意味を一文一文確かめていくことで全体の論旨の理解に到達する、といった丁寧な読み方に徹することが大事である。そして、読解の中で重要だと思った部分や理解しにくかった部分は、頭の中で考えるだけでなく紙に書き、正確かつ自然な日本語に訳せるようになるまで和訳演習を繰り返そう。文構造が複雑な英文を和訳する際には、記号を効果的に使うなど、英文の骨組みを確実に押さえる工夫をするとよい。

○幅広い教養を身につけよう

今年度の問題の中で、第1問(2)のthe Civil Warを「南北戦争」、第2問(1)のpsychiatry、psychoanalysisをフロイトと関連づけて「精神医学」「精神分析(学)」と果たして書けただろうか。the Civil Warは「市民戦争」などと訳してはならない。語注がついていないことからも、アメリカ史やフロイトに関する基礎知識が求められていると言える。多岐にわたる出題分野や高度な内容に対応できるようになろう。各社から発行されている「新書」を数多く読むことは、多分野の基本知識を得るのに有効な手段である。

○英作文の練習を繰り返し行おう

京大の英作文は、授業で学習している語いや構文の知識を使って書けるものばかりである。授業で学習した語いや構文、表現を何度も繰り返し書いて練習し、自分のものにしておくことが大切である。日本文1文が長くて訳しにくい箇所は、意味が切れる部分で短く切って複数の英文にすることも1つのテクニックだ。また、直訳しにくい箇所は、シンプルな日本語に書き換えてから英語にする習慣をつけよう。書いた英文を他者に添削してもらうのもよい方法だ。

○リスニングは普段から英語を聞き慣れ、背景知識となる単語の発音を身につけよう

ある程度の長さのまとまった内容の英文を、意味を追いながら聞く習慣をつけよう。また、自然科学的な内容が出題されているため、同様のテーマの長文を読むことで、背景知識や関連語句を身につけておくとよい。英語を音で聞いたときに理解するためには、自分でそれらの語を発音できるようになることが一番である。普段から英文や語句を音読するように心がけよう。

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