進研ゼミ 東大特講√T 進研ゼミ 京大特講√K

2008年度
入試速報
京都大学
入試問題の分析と対策

前期日本史B

■概要

試験時間:90分 大問数:4題

■京都大学の日本史B(前期)で求められる力

○すべての時代・分野に関する,総合的な日本史理解

「入試問題は大学からのメッセージ」との言葉があるが,京大は「幅広い,総合的な日本史理解」を受験生に求めていると言えるだろう。例年,特定の時代・分野に偏らず,古代から戦後史まで,政治・社会経済・文化・外交とバランスよく出題される。問われる知識の大半は標準的なものだが,出題形式も史料読解・空所補充・短文記述・200字論述など多岐にわたり,「もれのない学習」が前提とされている。

○教科書・用語集などを基盤とするオーソドックスな知識力

京大日本史は例年,語句または短文を解答する問題が各1点×70問,論述問題が各15点×2問という配点で構成されている。語句を答える問題では,ときおり細かい知識が問われることもあるが,大半は多くの教科書に掲載されている標準的な出題であり,教科書や用語集・図説資料集などの活用で十分対応できる。特別難解な問題集を使用する必要はなく,むしろ標準的な語句の意味をじっくり理解し,漢字で正確に書けるようにするといったオーソドックスな学習を心がけることが高得点への一番の近道となる。

○教科書で学んだ知識を題意に沿って構成し,自分の言葉で説明する論述力

京大の論述問題は,制度の「内容」,複数の事項の「比較」,事件・政策などの「経過や展開」,「原因と結果」など,端的な条件を与えられたテーマについて200字で説明するオーソドックスな形式である。他大学でいえば,大阪大の論述問題と類似している。教科書レベルではあるが,それだけに教科書を体系的に理解していることが大前提であり,題意に沿ってきちんと構成を立て自分の言葉で説明する力が求められる。

■最近6年間の出題状況(時代別)
テーマ 2008 2007 2006 2005 2004 2003






































■最近6年間の出題状況(分野別)
テーマ 2008 2007 2006 2005 2004 2003


























■2008年度入試の特徴

○形式・難易度は昨年と変化なし。超難問は見られない

例年通り,3つの史料に基づく出題(第1問・20点),10の短文に基づく出題(第2問・20点),3つのリード文に基づく出題(第3問・30点),論述問題(第4問・30点)の4大問構成であり,難易度も平年並であった。以前は「研究者にとっては常識であっても受験生にとっては教科書レベルをはるかに超えた難問」が出題されていたが,最近は見られなくなっている。

○例年通り全ての時代・分野から出題。短文記述問題が増加傾向

時代別には原始・古代25点,中世25点,近世25点,近現代25点であり,例年通り時代・分野のバランスを意識した出題であった。戦後史では1996年の「日米安保共同宣言」まで出題された。語句説明・理由説明などの短文記述問題は本年度は5題(各1点)出題され,増加傾向にあると言える。

■2008年度 大問別出題分析
大問 出題時代(分野) 難易度 内容と求められた力

標準

知識力と史料読解力の両方が求められる出題

A『続日本紀(天平元年)』,B『山内首藤家文書(山内一族一揆契約連署起請文)』,C『京都町触集成(天明六年の京都町触)』を用いての出題。
ここ数年は3史料のうち1つは既知,残り2つは初見という構成だったが,今年は3史料とも初見史料であった。史料文のキーワードを手がかりに,既存の知識(教科書に載っている標準的なもの)に当てはめて解答を引き出す力が求められている。史料文内の語句を用いて答える問(10)や,史料を参考にして「起請文」を説明する問(12)など,史料の読解力を試される問題も多い。

標準

標準的な空所補充。ここで点数を落とさないように

2つずつ空所がある10短文(①飛鳥文化,②古代の布生産,③大化改新,④8世紀の国家仏教,⑤山城国大山崎,⑥大内氏と日明貿易,⑦秀吉の朝鮮侵略,⑧元禄文化・人形浄瑠璃,⑨江戸時代の国学,⑩江戸後期の飢饉と百姓一揆)の補充問題。
大半は教科書・用語集レベルの知識をベースに,空所の前後から用語を特定することができる。ウ「紡錘車」ツ「漢心(意)」テ「飢饉」などは一問一答的な暗記だけでは答えにくいが,前後の文章からよく意味を考えて解答したい。ただし,こういった問題以外の標準的な内容を確実に答えることが重要。

標準

表面的な語句暗記ではなく,正確な意味の理解を

3つのリード文(A平安時代の史料研究,B江戸時代の交通と商品流通,C戦後東アジアの冷戦体制)からの出題。いずれも標準的な出題であり,とりわけB・Cは頻出テーマ。短文記述の出題が増加しており,正確な知識理解が求められる。またA問(3)で今年も時代順に並べる設問が出された。
A問(5)は簡潔に記すのが難しく,多くの受験生が戸惑ったであろう。B問(9)は「西廻り航路」を単なる暗記ではなく,地図をしっかり見て学習しているかが問われている。C問(14)「SCAP」は「GHQ/SCAP」という語句が,それぞれ何を指すのかをしっかり納得した上での学習が必要。問(16)日米安保共同宣言は現代社会的な教養レベルの知識が問われた。これらは解けなかった受験生も多かっただろう。

標準

体系的な知識理解が必要。設問を正確にとらえること

(1)「鎌倉幕府における将軍のあり方の変化とその意味」,(2)「明治維新から日清開戦にいたる日本と清国の政治・外交関係の推移」について,それぞれ200字の論述。どちらも大学入試における頻出テーマであるが,条件に沿った解答を作るのは慣れていないと難しい。
(1)は「頼朝期」「執権政治期」「得宗専制期」など政治体制の特徴を書いただけでは得点にならず,それぞれの時期における「源氏将軍」「摂家将軍」「皇族将軍」の“将軍のあり方”をきちんと書けるかがポイント。 (2)は当時の日本政府が企図していた清国の冊封体制の否定という文脈で琉球・朝鮮をめぐる諸事項について,整理して盛り込むと高得点がねらえるだろう。

※編集部が考える模範解答に対して,合格レベルであれば半分程度の答案を作成できると推測したものを「標準」とする。

■合格に向けての対策

○語句問題の8割は標準的な知識。教科書・用語集を中心に

語句・短文記述70問のうち,例年50~60問は解答となる語句の基本知識をもっていれば即座に答えられる基本的な問題である。そしてそのうちの8割前後は,ほとんどの教科書に掲載されている用語である。ときおり出題されるマニアックな知識問題や答えにくい問題に惑わされず,まずはこれらの「重要語句」をしっかり学習することが合格への近道である。まずは,過去問で,求められた知識が教科書でどのように載っているか,用語集でどういう扱いになっているか,自分で確認してみよう。「教科書レベル」を確実に押さえることの重要さがわかるはずだ。

○無味乾燥な暗記ではなく,資料集や教科書を活用して考えながら覚えよう

用語だけをバラバラに覚える無味乾燥な暗記ではなく,図説資料集なども活用し,体系的な理解を深めることが大切。例えば08年度第1問C(13)「この触書が伝達された都市はどこか」は,史料文末尾の「洛中洛外へ相触るべきもの也」から京都という答えを導く問題だが,教科書や資料集に載っている『洛中洛外図屏風』が何を描いたものなのかを頭に思い浮かべれば,「洛中洛外→京都だ!」と簡単に気づく。また短文記述では教科書に記載されている内容から多く出題される。意味や理由,時代背景をじっくり考え,自分で「そういうことか」と気づきながら学習を進めてほしい。

○史料文に慣れる

第1問への対策として,史料文(現代語訳ではなく原文)に慣れておきたい。京都大は初見の史料が多いが,教科書に掲載されている史料やふだん副教材として使用している史料集を中心とした学習が基本である。京都大の史料問題は,史料そのものの知識ではなく,史料から問題に即した情報を導き出す力を求めている。頻出史料問題の空所だけを暗記しようとしたり,初見史料にこだわりすぎたりしてはならない。

○過去問(他大学含む)などで論述力をつける

第4問の論述問題への対策として,京都大の過去問はもちろん,類似テーマが多い大阪大や名古屋大の過去問も解いてみるとよい。答案を作成したら必ず先生の添削を受けて,制限字数内で的確にポイントを押さえる力をつけていきたい。なお,論述対策も基本はやはり教科書である。論述問題のテーマがどのように説明されているかを確認しながら,教科書を繰り返し読み込んでおきたい。実戦対策には,進研ゼミの京大特講√K『京大文系 予想問演習』をおすすめする。

○他教科・他科目をおろそかにしない

日ごろから他の教科・科目も丁寧に学習しておきたい。たとえば,倫理で学ぶ仏教・儒学思想は,宗教史の学習をさらに深めてくれる。また,世界史については,アジア諸国・列強との関係や,国際情勢における日本の位置づけを把握する上で有効であり,世界史で学ぶ人物が日本史でも問われることも多い。国語における漢文の読み下しや古文の単語の知識は史料の読解に,文学史の知識は文化史の学習に役立つ。 今年度の第1問A(3)や,第3問A(3)はそのよい例である。

進研ゼミ 東大特講√T 進研ゼミ 京大特講√K
http://tk.benesse.co.jp

進研ゼミ東大特講・京大特講による、東京大・京都大をめざす高校生のための情報サイト。合格した先輩の学習法・体験談・メッセージや大学の情報などを掲載中。