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2008年度
入試速報
京都大学
入試問題の分析と対策

前期理系国語

■概要

試験時間:90分 大問数:3題

■京都大学の国語(前期理系)で求められる力

○現代文は、抽象的な表現を、文脈を踏まえたうえで、一つ一つ自分の言葉でとらえ直す力が求められる

現代文では、しばしば抽象的表現や一度読んだだけでは理解しにくい表現を含む文章が出題される。入試問題では、そのような部分の意味を説明させることが多い。それらは辞書的に説明したり、問題文中の別の表現をそのまま当てはめたりするだけでは不十分で、文脈を踏まえたうえで、一つ一つ自分の言葉でとらえ直す必要がある。解答するときには、表現の意図を踏まえ、論理の展開からはずれないように読み解いたうえで、再度自分の言葉で解答を再構築する力が求められる。

○古文は、文法や古語などの基礎的な知識事項が求められる

理系の古文では、難度の高い補足や言い換えはあまり要求されず、逐語訳に近い現代語訳をする力が求められている。そのため、基礎的な古文文法や古今異義語・古文特有語などを確実に覚え、それを現代語訳に的確に盛り込む必要がある。

■最近5年間の出題状況
大問番号 観点 2008 2007 2006 2005 2004

安田雅弘「《演劇的知》について」

清水哲郎「死に直面した状況において希望はどこにあるか」

茂木健一郎「「曖昧さ」の芸術」

下村寅太郎「知性改善論」

野上弥生子「ローマへ旅立つ息子に」

評論(現代文)

評論(現代文)

評論(現代文)

評論(現代文)

現代文その他

1501~2000字

2001~2500字

1501~2000字

2001~3000字

2501~3000字

青柳瑞穂「真偽のむずかしさ」

橋本治『浮上せよと活字は言う』

高見順「わが胸の底のここには」

横光利一「天城」

西田幾多郎「読書」

随筆(現代文)

随筆(現代文)

小説(現代文)

小説(現代文)

評論(現代文)

1501~2000字

1501~2000字

1501~2000字

1501~2000字

1501~2000字

『唐物語』

『長谷雄草子』

正親町町子『松蔭日記』

上田秋成『藤簍冊子』

横井也有『鶉衣』

説話(古文)

物語(古文)

近世作品(擬古文除く)

近世作品(擬古文除く)

近世作品(擬古文除く)

~500字

501~800字

501~800字

501~800字

501~800字


■2008年度入試の特徴

○昨年に続き文理別の出題であった。大問二では記述量が増加。古文では和歌に関する出題が見られた。

例年通り、現代文2問・古典1問の3大問。昨年に引き続き大問二・三は文理別の出題であった。大問一は、京大頻出のテーマからの出題。説明問題は減ったが、1設問あたりの記述量は増え、全体での解答量の変化はなかった。大問二は随筆からの出題で記述量に増加が見られた。昨年大問二で出題された漢字の問題は大問一へ移った。大問三は説話からの出題で、和歌に関する問題が出題された。

■2008年度 大問別出題分析
大問 問題文ジャンル 小問 難易度(※) 内容と求められた力

標準

抽象的な表現が文脈の中でどのような意味を持つのかを理解する力が求められる

演劇を通じて、自分の身体を意識する方法と意義を説いた文章。この問題文のような演劇論・身体論や、現代社会の問題を扱った文章は、京都大の国語の入試において頻出である。身近な具体例が多く、文字数も少なめであることから、問題文の内容をつかむことは難しくはない。ただし部分的に抽象的な表現や比喩的表現、説明の省略が見られるので、これらを精確に把握し、自分の経験や知識によって補うことができているかどうかで差がついただろう。

標準

文脈の中の抽象的な表現を言い換えながら、わかりやすく説明する力が求められる

設問形式は、漢字の読み・書き(問一)・理由説明(問二)・内容説明(問三)・要旨説明(問四)という構成であった。説明問題はいずれも、比較的平易で簡潔な問題文の中の抽象的あるいは比喩的な表現を丁寧に説明し直すものである。「簡潔に」と書かれている設問もあるが、すべての解答欄がかなり広い。単純に短くまとめるということではなく、各設問の出題意図を整理し、冗長さ、内容の重複を避けてまとめることが要求されていると考えるべきであろう。 問一の漢字問題は、読みを問われた漢字は見慣れない漢字のため、普段から漢字問題を特に対策していなければ難しいだろう。問二は問題文中に出てくる「意識」「無意識」という観点をとらえて説明できたかどうかがポイント。問三は、傍線部(2)直後の「初めて自力で靴下を履いた日」という具体例を踏まえながら説明することで、差がつく解答となる。問四は問題文全体の要旨を問う設問。《演劇的知》を例とした「教養」についての筆者の考えを説明する。3行目の「私たちを無意識に縛っているものに気づいていく教養」の説明に対して、「教養は私たちの何を、何から自由にしてくれるのか」という問いを持って解答骨子を作ると書きやすくなる。

標準

標準

標準

標準

文系的な要素も含んだ京都大定番の問題文

文理別の出題となって2年目。理系学部の大問二は、昨年に続き現代文随筆の出題となった。文芸や文化に関する本質的なものの見方・その姿勢といったテーマは、これまでの京都大で出題されてきた内容であり、2000年度でも“オリジナルと複製”という、今回の「真偽」にも関連する話題を扱った文章が出題されている。 昨年の傾向を踏襲しつつも、昨年よりやや平易な問題文であるが、問二で出題されているように、小説的な「心情の読解」を要求しているところに本年の特色がある。筆者の個性豊かな筆致、飛躍した表現は文理別出題以前からの京都大問題文の特徴である。理系でありながらも、文系過去問までも含めて多く解き、練習を重ねてきた受験生ならば抵抗感なく取り組めた問題文だったと言える。

標準

答案作成の骨子は定番パターンを踏まえて作成する

記述説明の設問数は昨年と同じ3問ではあるが、記述量は昨年の「3行、2行、2行」から、「5行、5行、5行」と増加した。そのため、記述説明力に不足がある受験生は昨年と比べ苦戦したと思われる。ただし、記述の難易度としては、定番のパターンを踏まえることで作成できるレベル。 問一は「ひとから偽者だと言われる」と対比させることで、「ひとから本物だと言われ」るときの状態を浮かび上がらせるのが解答の骨子。問三は「一流品」の「堕落」を説明し、その説明を手がかりにして、問題文では直接に書かれていない「二流品、三流品」の「矜持」を対比させて説明する必要がある。このようにどちらにも解答の骨子に逆説・対比がある。 問二は前述のとおり小説読解的な設問。傍線部「おはずかしい」とその後の「謙虚」さに着目し、この二つの表現の位相の異なる状況を整理し、的確に説明できるかが高得点の鍵だ。

標準

やや難

標準

短い問題文で、比較的容易に読みとれる。和歌に関する問題が出題された

『唐物語』は「史記」「白氏文集」などにある中国説話を集め、歌物語風に訳した説話集である。問題文が短く、難しい語句には注があり、かなり読みやすくなっている。その一方で昨年の理系の問題にはなかった和歌に関する設問が出題された。

やや易

古語や文法事項、和歌の修辞などの基礎事項の理解が求められる

大問全体としては、古語や文法などの基礎的な学習をしっかりしておくことでほぼ解答は可能である。問一は「主語を明らかにして」という条件つきの設問であるが、文脈から主語は容易に判別できる。問二は京都大で頻出の和歌の解釈の問題。「適宜ことばを補いながら」という条件つきでの現代語訳であり、掛詞の訳出がポイントとなる。和歌の修辞についての基礎的な理解が問われた出題である。理系であっても基本的な和歌の修辞や訳し方は身につけておきたい。問三も「適宜ことばを補いながら」という条件つきの現代語訳である。この種の設問ではできる限りの適語を選び、わかりやすい表現にすることを心がけよう。傍線部に含まれる助動詞「けむ」(伝聞)や「けり」(詠嘆)の訳出がポイントとなる。

標準

標準

※【問題文】過去5年間の同分野の問題文の中で平均レベルと編集部が考えたものを「標準」とする。 【設問】編集部が考える模範解答に対して、合格レベルであれば半分程度の答案を作成できると推測したものを「標準」とする。

■合格に向けての対策

○出題傾向を押さえ、京都大頻出のテーマに対する知識を身につける

対策を進めるにあたって非常に有効になるのが京都大頻出の出題テーマに対する理解だ。過去問題の傾向から言えば、「身体論」、「芸術・文化論」、「哲学・科学論」、「知性・教養論」、「読書・言語論」などが出題されている。日頃からこれらの文章に多く触れて、その考え方や内容に親しんでおきたい。用語などの基礎知識をつけることもできるし、そこで問題提起されていることへの理解もスムーズになり、問題文での説明の省略を補う力も身につく。さらに、説明の省略や比喩を理解し、説明するためには、読んだ内容を自分の問題としてとらえてみたり、具体例に置き換えて考えてみるというトレーニングも有効だ。

○京都大頻出の設問形式に対する解答のパターンに慣れておく

頻出の設問形式について、解答のパターンを知っておくことは非常に有効である。例えば、大問二の問三(ウ)は、逆説的な内容を説明する設問だが、「本来一流品は( A )であるのに、( B )なので堕落し、二流品、三流品は( C )であるのに、( D )なので誇りを保持して( E )だということ。」という逆説特有の解答の骨格をつくる。ここではA~Eに語句を書き込めれば解答が完成する。この力は日頃のちょっとした心がけと、意識した練習によって培われていく。数多くの問題にあたり、解答のパターンを身につけておこう。

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