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2010年度
入試速報
京都大学
入試問題の分析と対策

前期地理B

■概要

試験時間:90分 大問数:4題

■京都大学の地理B(前期)で求められる力

○豊富な知識と,基本的な事項の理解が問われる。

京都大地理では,豊富な知識と的確な論述力が要求される。知識量が得点にそのまま反映されるため,教科書レベルの知識・基本統計は正確に覚えておく必要がある。ただし,もちろん論述では,資料の読み取りや現象の仕組み等の説明が必要となる。よって,用語は単なる暗記ではなく,個々の事象とのつながりまでしっかり理解したうえで覚える必要がある。また,統計は上位国全体の特徴や,その国が上位となっている背景・要因を把握しながら覚えていく必要がある。

○要点を把握した論述の力が問われる。

資料を多用しながらそれに関連した説明・論述を求める設問や,事象の仕組みなどを問うものが多い。難問は少ないが,物事を正確かつ多角的に把握していなければ高得点は望めない。また,指定の字数は短いものが多いため,解答の要点を外さずに字数以内に要約する力が求められる。

■最近5年間の出題状況(分野別)
テーマ 2010 2009 2008 2007 2006
交通・通信






国家・国家群






地図・地理学史






地域調査






自然環境






環境・エネルギー問題






人種・民族






人口






産業の立地・発達






産業の国際化,国際分業






村落・都市






行動空間の拡大






地域区分と地誌






雑題







■最近5年間の出題状況(地域別)
テーマ 2010 2009 2008 2007 2006
日本

アジア

アフリカ

ヨーロッパ

ロシア連邦と近隣諸国

アングロアメリカ

ラテンアメリカ

オセアニア

両極地方

総合

※○は1題,◎は2題以上の大問でその分野・地域が問われたことを示す。

■2010年度入試の特徴

○地形図や複雑な統計分析が出題されず,取り組みやすかった。

地形図の読図が出題されなかったこと,複雑な統計分析が出題されなかったことから,受験生には取り組みやすかったと思われる。また,2009年度よりも問題の難易度のばらつきが小さくなったことから,実力が点数に反映される問題であったと考えられる。

○論述では,地理用語の定着と図表や題意の読み取りが重視された。

論述は,ケスタやカルスト地形の成因や特徴,河川開発とその問題点,ハブ=スポーク方式,南南問題など地理用語を的確に指定された字数で表現できるかどうかや,既知の知識をもとに題意を読み取ったり,図表を分析したりする問題が比較的多く出題された。

■2010年度 大問別出題分析
大問 テーマ 難易度 内容と求められた力
第1問 世界の地形

やや易

地形に関するオーソドックスな知識と論述力が問われた。
地形に関する用語記述。小地形の特徴と成因の論述。(1)造山帯と平野に関する空欄補充。いずれも基本用語であり,すべて正解したい。易。(2)日本列島周辺のプレート名を問う頻出問題。標準。(3)ケスタ地形の特徴と成因に関する論述問題。特徴は緩斜面と急崖をもつこと,成因は傾斜した硬軟互層が差別侵食を受けてできることを記述できるかどうかがポイント。標準。(4)秋吉台とコイリンの石灰岩地形の成因の共通点と特徴の相違点に関する論述問題。石灰岩地形の成因と秋吉台の特徴は標準的であるが,コイリンの特徴についてはやや難。
第2問 世界の主要河川

標準

地図の判読と河川開発に関する知識が問われた。

大河川流域の地誌。河川開発の論述。(1)地図から河川名を判断する。易。(2)河川流域の都市名の記述。常に地図帳を見る習慣をつけておくことが肝要。標準。(3)首都の位置。ドナウ川流域の首都は頻出である。標準。(4)長江流域の農業に関する論述。稲作について述べる。やや易。(5)アマゾン川流域の開発と問題点に関する論述。熱帯林の破壊とその背景について論述できるかどうかがポイント。標準。(6)長江流域の開発と問題点に関する論述。字数にあわせてまとめるのが難しい。やや難。(7)ルーマニアとオーストリアの言語と語派の記述。標準。
第3問 日本の国内貨物輸送

やや難

統計資料を読み取って論述する力が問われた。

国内の貨物・旅客輸送に関する統計分析と論述問題。(1)輸送機関別の重量比,主要品目の選択問題。トラックは輸送距離が短く,重量比較では他の交通機関との差が大きい。B群ではウ・エの判断が難しい。やや難。(2)九州の拠点空港は,図2の定期便航路より判断できる。やや易。(3)航空貨物の輸送距離に関する論述。トラック輸送と比較し,流動量の多い都市の位置関係に注目する。標準。(4)貨物輸送の拠点に関する論述。図から読み取れる事実関係を述べればよい。標準。(5)九州の航空輸送網の特徴に関する論述。拠点空港から離島への航路に注目する。やや難。
第4問 国民総所得からみる産業構造と課題


統計資料の判断力と経済に関する論述力が問われた。

国民総所得の統計読み取りと経済成長に関する論述問題。(1)国民総所得と国内総生産の違いを論述。公民的内容で難。(2)1人当たり国民総所得の選択問題。a・bは,国民総所得を人口で割って求める。標準。(3)表中5か国の国名記述。標準。(4)数値の選択問題。表中の国の数値から類推して答えられるが難しい。(5)産業構造の高度化に関する論述。知識問題である。やや難。(6)所得分配に関する論述。ラテンアメリカ諸国経済の一般的傾向から類推して記述する。やや難。(7)エンゲル係数に関する論述。(1)同様,公民的内容でやや難。(8)南南問題の論述。産油国や新興工業国と後発発展途上国とを対比させて考える。やや難。

※「難易度」は,合格者の正答率が5割程度だと京大特講編集部が推測したものを「標準」とした。

■合格に向けての対策

○基本知識は確実に。

京都大地理では,まれに難解な知識が出題されることもあるが,基本は教科書レベルの知識。地名・都市名・自然地名・地理用語などは確実に覚えておく必要がある。ただし,単なる用語の暗記ではなく,(1)理由や仕組みなどの解説は読み飛ばさずに精読し理解する,(2)地図帳と統計集も併用して位置や順位などを同時に確認しながら学習することで,多角的な理解を心がけ,論述問題に対応できる力をつけていくことが大事だ。

○統計順位は理由を把握しながら覚えていく。

統計資料問題においても,他の問題同様に知識力と分析力がバランスよく要求される。主要穀物の生産と輸出や主要国の人口など,主要な統計は順位を覚えておこう。また,頻出である日本の社会・経済に関わる問題に対処する上でも,日本の大都市の人口などは覚え,都道府県別の各種統計にも馴染んでおきたい。資料の分析力をつけるためにも,機械的に順位を暗記するのではなく,その国や都道府県が上位である理由を,地域の位置や気候,産出する鉱物など,その地域の特徴と関連づけて総合的に理解していくことが重要だ。

○地形図にも注意,読図の訓練を積もう。

京都大地理では,数年に一度は地形図が出題される。地形や土地利用,集落立地の関係を中心に読図の練習を積んでおく必要がある。教科書・資料集等に掲載されている地形図は必ず詳細まで確認し,特徴的な地形図については図を見ただけで地形や集落の形態がわかるようにしておこう。また,新旧の図を見比べる訓練もしておくとよい。

○社会情勢に関して敏感にチェックしよう。

京都大地理では,最新の時事問題はほとんど問われないものの,人口問題・都市問題や,日本と国際社会との関係,民族問題など,社会情勢や社会問題について問われることはある。社会変化や情勢への関心が有利に働くことは多い。教科書,資料集に掲載されている社会問題の事例については常に注意を払い,新聞やテレビのニュース,ドキュメンタリーなども関心をもって該当地域や内容,影響などについて確認するようにしよう。

○要点を絞った論述の訓練をしよう。

京都大地理の論述問題は,20字~80字程度まで制限字数の幅があるが,多くは40字程度である。短い字数にあわせた的確な解答を作成する力をつけておきたい。過去問は必ず実際に解答をまとめてみて,要点把握の仕方を会得しておこう。まれに題意がつかみにくい設問もあるが,設問文のほかリード文や前後の設問などにも注意すればより適切な解答を導くことが可能である。解答を書き始める前に,盛り込むべき要素を整理してから解答用紙に記入するとよい。自分でまとめた解答を他者に添削してもらう機会は積極的に利用しよう。

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