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2010年度
入試速報
京都大学
入試問題の分析と対策

前期文系数学

■概要

試験時間:120分 大問数:5題

■京都大学の数学(前期文系)で求められる力

○論理的に解答を構築する思考力と,その考えを解答に表現する発信力が求められる。

「問題を解くのに必要な定理・公式・解法を素早く判断し,適用する力」,「解答を厳密かつ論理的に書く力」が求められる。いかに,解法を構築し,答案に発信できるかが問われているのだ。頻出の整数問題や論証の問題に加え,一見すると解きやすそうな問題では特にしっかりと答案が書けるかが重要になってくる。同時に文系では「正確に計算する力」も必要だ。また,京大は誘導形式の小問がないことが多いので,解答のストーリーづくりが重要となる。最初から最後まで自力で解答をつくる力を養いたい。

○幅広い分野の理解が必要。

京大数学では,微積分,図形,整数問題,確率,数列など幅広い分野から出題されるので,苦手な分野をつくらないようにしたい。各分野の土台がしっかり身についているかが問われているのだ。問題は標準的なものが多いので,定理・公式や頻出の解法を,まずは完璧に理解するようにしよう。

■最近5年間の出題状況
テーマ 2010 2009 2008 2007 2006
方程式・不等式






2次関数






図形と方程式






三角比・三角関数






指数関数・対数関数






微積分






場合の数・確率






平面図形






空間図形






平面ベクトル






空間ベクトル






数列






行列(*)






論証






整数問題






※2006~2010年度入試における出題範囲を一覧とした。
※○は1題,◎は2題以上の大問でそのテーマの力が問われたことを示す。(解答で用いられる知識は解法による。ここでは,受験生が試験本番で実際に使えると京大特講編集部が判断した解法をもとに,テーマのカウントを行っている。)
※(*)行列は2006,2007年度のみ出題範囲。

■2010年度入試の特徴

○2009年度と同様,小問のある形式であった。

2009年度と同様,第1問に独立した2つの小問がある形式であったことに加え,第5問が小問に分かれての誘導形式での出題となった。難易は2009年度に比べやや易化した。

○回転体の体積が出題された。

2010年度の京大文系の出題範囲には,他大学の文系にはあまり見られない「確率分布(確率の計算のみ)」「一般の多項式の微積分,立体の体積」が含まれている。その中で,2010年度は回転体の体積が出題された。2009年度は条件付き確率,2008年度は4次関数の積分が出題されるなど,京大独自の出題範囲の問題が連続して出題されている。最新の選抜要項を見て,しっかり範囲を確認しておきたい。また,頻出で2009年度も出題された整数問題が2010年度は出題されなかった。

■2010年度 大問別出題分析
大問 テーマ 難易度 内容と求められた力
第1問問1 微積分

やや易

定積分を手際よく計算する力が問われた。

放物線と定点を通る直線で囲まれる図形の面積を求め,さらにその最小値を与える直線の傾きを求める問題。定積分を手際よく取り扱う計算力が必要な,問題集でよく見られる定番の問題である。
第1問問2 平面図形

標準

図形を把握し,解法の見通しを立てる力が問われた。

角の二等分線と対辺の交点をとり,三角形の形状をどのような解法を用いて考察するかを見抜く思考力が問われている。初等幾何で記述する方法,余弦定理の利用,3倍角の公式の適用,ベクトルの計算の利用など,様々な解法が考えられる問題である。
第2問 図形と方程式


領域と直線・円の関係を調べる問題で図形の把握力が問われた。

三角形の内部と周の領域内を動く点に対して,1次式2x+y,2次式x2+y2の最大値・最小値を求める問題である。1次式は2x+y=kとおき,直線と領域が共有点をもつようにkの値の範囲を定める,2次式は原点から領域内の点までの距離を考える。線形計画法の代表的な問題である。
第3問 場合の数・確率

やや易

事象を正確に数え上げる能力が問われた。

1から5までの自然数を並べるとき,前から3つの数の和と後ろから3つの数の和が等しくなる場合を考察する問題。場合の数の数え上げでは,基準となるものを定めて場合を分け,数え上げるとよい。本問では3番目の数に着目すると見通しよく場合分けできる。条件を満たす事象を「もれなく,重複なく」数え上げる能力が必須である。
第4問 平面図形

標準

条件から結論を適切に導く記述力が問われた。

頂角が36度の二等辺三角形において,底角の二等分線と対辺の交点をとり,各辺の比を考察する問題である。初等幾何で各辺の比を求める方法,および余弦定理と3倍角の公式を用いる方法が考えられる。与えられた条件から結論を導くときに筋道を立てて記述する力が問われる問題である。
第5問 微積分


立体を把握する力と定積分の計算力が問われた。

対角線を軸にして立方体を回転させて得られる回転体の体積を,定積分を利用して求める問題。軸に対して垂直な平面による断面積を計算して積分するのであるが,断面積の計算には空間図形を取り扱う能力が求められる。ベクトルを用いたり,空間図形の方程式に持ち込んだり,いろいろな方法が考えられる問題である。また,積分変数の取り方には注意を要する。なお,立体の回転体の体積(数学III)が含まれている。

※京大特講編集部が考える模範解答に対して,合格レベルの人であれば半分程度の答案を作成できると推測したものを「標準」とする。

■合格に向けての対策

○頻出問題・頻出解法はひと通りマスターしておく。

京大数学では例年,標準的な定理・公式や解法が理解できているかを問う問題が多い。つまり,頻出問題・頻出解法は必ずできるようにしておかなくてはならないのだ。標準的な問題集に何度も取り組み,頻出解法は必ず身につけておこう。遅くとも,高3の夏までには頻出問題は解けるようにしたい。

○少し難度の高い問題の対策もしておこう。

文系の問題は「典型的な問題が多い」というが,中には文系の生徒にとって難しく感じたり,見たことがないと感じる問題があるかもしれない。高3の夏までに基礎を固めた後は,理系が使うような少し難度の高い問題集も利用し,京大文系の出題範囲で解ける問題に取り組んでおくとよい。

○自分の答案を客観視できるようになろう。

京大数学には,解答方針はわかっても,答案として発信するのが難しい問題が多い。答案として発信する力をつけるには,自分の答案を客観視できる力をつける必要がある。まずは,自分の答案を誰か他の人にチェックしてもらうとよい。一人では自分自身の論理の誤りに気づきにくいことも多いし,論理的には正しくても,わかりづらい答案もあるからだ。また,他者による指導と並行して,自分の答案を自分で採点する習慣もつけよう。採点基準を見ながら自己採点することで,出題者が何を求めていたのかがわかる。そのため,問題演習をする際は,解答に採点基準が明確に記されているものを使うとよい。

○整数問題の対策をしよう。

2010年度は出題されなかったが,京大数学といえば整数問題,と言われるくらい整数に関する問題はよく出題される(最近5年間では2009,2007年度に出題)。その対策には,過去問を利用するとよいだろう。京大文系・理系の過去問はもちろん,東大や一橋大,津田塾大,早稲田大政治経済学部など整数問題がよく出る大学の過去問にも取り組んでおくとよい。また,整数問題は論理的に不十分になりがちなので,自分の解答と模範解答を見比べ,完全な解答が書けているかを解き終わった後に確認しよう。

○ミスをしないで,最後まで計算をやりきる習慣を。

東大に比べて,京大では計算が難しい問題は少ない。ということは,計算ミスができないということである。つまり,最後まで計算をやりきる力を身につけなければならない。特に文系では,理系以上に計算の正確さが重要になってくる。したがって,問題演習でも自分の手を動かして計算することを怠らないようにすること。その際,複雑な式の扱い方(文字による置き換えや次数下げなど)の計算テクニックもあわせて身につけておこう。

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