試験時間:(2科目で)180分 大問数:3題
例年,長文の問題が出題される。何よりもまず,注意深く問題の状況を読み取り,それをイメージすることができるようになることが大切。不十分なら,与えられた図以外に自分で図やグラフを描くことも必要だろう。前の方で出てきた内容がずっと後の方で必要になったり,問題文の後の方に出てくる記述が前の問題のヒントになったりすることがあるので,問題文をしっかりと読破する必要がある。
京大の問題では標準問題から一歩踏み込んだ初見の問題であることも多いだろう。しかし,長文であることは悪いことではない。丁寧な問題文の中に,解答への道が隠されている。題意に素直にしたがって,誘導に乗ることが大切だ。小問で問題が飛ぶこともあるが,前問の結果を用いることが多い。また,着実で粘り強い計算力が必要とされることもある。近似計算では要点を押さえた式の整理力も必要である。
2007年度以降,論述問題が増加している。今後,論述問題の比重がさらに大きくなることが考えられる。論点を押さえた簡潔で的確な論証・表現ができるようにしよう。
| 科目 | 分野 | 小分野 | 2008 | 2007 | 2006 | 2005 | 2004 | 2003 |
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※例年3題で,ここ数年は,力学,電磁気,熱の分野からの出題が続いたが,2008年度には原子・原子核分野から出題された。さらに,波からもいずれ出題されるはずである。
※複数の分野を融合させた問題が多い。
| 2008 | 2007 | 2006 | 2005 | 2004 | 2003 | ||
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※長文の空所を補充する記述問題がほとんどである。
※1大問に1~2小問は,長文の空所に入る語句(ほとんどは定性的な問題)を選択する択一問題がある。論述問題,計算問題,描図問題も出題される。
2007年度より,試験時間が1科目あたり75分から90分に変更になったことに伴い,理由説明の論述問題と,記述式の数値計算の問題が増加した。2008年度も同様で,この傾向は当分続くと思われる。論理的で的確な表現力と,正確で迅速な計算力を養う必要がある。
2008年度は以前によくあった文字式を使った複雑な計算が戻ってきた。問題IIIは原子の選択分野からの出題で,入試要項にある「選択項目の一つを学習しなかった受験生に対しても,選択方法による不利が生じないように出題方法などに配慮」というようには行かない。やはり原子分野をきちんと学習しておかないと歯が立たないだろう。内容は原子核から出てくるγ線を扱った問題である。題意を読み取り,状況をイメージする力が必要であり,深い思考力・計算力が要求される。
| 大問 | テーマ | 難易度 | 内容と求められた力 |
|---|---|---|---|
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標準 |
円運動する物体に摩擦力がはたらいた場合の様々な物理量の変化を考察する問題である。(1)では摩擦力がはたらかない場合について,運動エネルギーと位置エネルギーの関係を問うている。(2)(3)では摩擦力がはたらく場合について,物体の速さの変化を,仕事とエネルギーの関係及び運動エネルギーと位置エネルギーの変化の関係から考えさせている。さらに(4)では空気抵抗を受ける人工衛星の運動について,同様の内容を考察させている。論述問題として,問1では人工衛星の力学的エネルギーの微小な変化を導かせ,問2では人工衛星の速さの変化を考察させている。問題文を正確に読んで,式に反映させて考えを進めていく力が求められる。 |
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標準 |
平行板コンデンサーの極板間に挿入した金属板にはたらく静電気力を考察する問題である。極板間に金属板が存在する部分と存在しない部分に分けて,蓄えられる静電エネルギーや電位分布について考えさせている。挿入した金属板を動かした場合の静電エネルギーの変化と電源のする仕事から金属板にはたらく力を求めさせている。論述問題として,問1では金属板と垂直な方向にはたらく力を,問2では誘電体を覆った金属箱を挿入したときに金属箱にはたらく力をそれぞれ考察させ,問題全体についての理解を問うている。
静電界の現象についての基本的な把握と,それを式に表現する力が求められる。
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やや難 |
原子核や結晶からのγ線の放出・吸収について考察する問題である。光子のエネルギーと運動量の公式を与えてγ線を光子として扱い,エネルギー保存則,運動量保存則から放出されるγ線の振動数を求めさせている。さらに,単振動する吸収体でγ線を吸収するという設定で,吸収が起こる条件をドップラー効果から考えさせている。論述問題の問1では結晶を構成する原子数を無限大とみなしたときの放射γ線の振動数を近似を用いて導かせ,問2では測定されるγ線強度の時間変化の理由を述べさせている。
かつての京大の原子の問題によくあった,文字式の方程式の解法や近似の技法を十分に持った上で,問題文に記述された物理的状況を正確に式に反映させる力が求められる。
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※「難易度」は,全問題中での相対難易度。合格者の正答率が6割程度だと京大特講編集部が推測したものを” 標準”とした。
教科書を疎かにしてはいけない。物理量の定義や基本公式を正確に覚え,教科書に書かれている派生的な公式は教科書を見なくても自分で導くことができるようになろう。教科書の章末問題や,他の参考書,問題集でつまずいたときは,教科書に返ろう。基本を深く正確に理解していることが,問題を解くのに最も大切なことだ。基礎が磐石でなければ複雑な問題は解けない。近似計算にも慣れておこう。
教科書の例題,章末問題を終えたら標準問題集を1冊仕上げることは必須である。一つひとつの問題を丁寧に解き,別解がないかも考える癖をつけよう。様々な思考法ができることが,京大に特徴的な誘導問題についていく力を養う。また,別解は時間が余ったときの検算にも役立つ。問題が解けたら,それで終わりにするのではなく,解答結果の意味を考える習慣もつけよう。思考力をつけ,論述問題の対策にもなる。
京大物理の問題に対処するには,長文の題意を正確に読み取り,問題状況を把握する力,そして,粘り強い思考力,計算力がどうしても必要である。標準問題を終えたら,過去問やそれと同等の問題にじっくり取り組んでみよう。はじめは時間がかなりかかるかもしれないが,時には考え抜くことも大切だ。
極めて優秀な人は別として,問題文を読んで,状況を頭の中にイメージするだけでは,まだ分かりにくく,間違っていることもある。できるだけ図を描いて考える癖をつけよう。例えば,2007年度問題II(イ)など,コイルと磁石の時刻tでの図を描いてみないとわかりにくいのではないだろうか。関係式をグラフに表すことや,逆にグラフから関係式を読み取ることにも慣れよう。図やグラフで問題を視覚化することは,グラフ問題の対策だけでなく,問題状況の理解を容易にする。
先にも述べたように,2007年度から試験時間が延びたために,本格的な論述問題の出題頻度が増加すると考えられる。どんな問題を解いたときも,答えの意味を考え,なぜそうなるのかを,言葉で表現してみるようにしよう。論述問題の模範解答と自分の解答を比べるときは,必要なキーワードや,必要な式が入り,筋道の通ったわかりやすい表現になっているか確認しよう。 模擬試験を受けたときには,どのようなところで減点されているかチェックするとよい。
京大物理の問題では,数学的には2次方程式を解く問題に帰着することが多く,しかも数学と違って,文字が多いために,複雑な計算になることがある。これはいたしかたない。何が定数として扱われ,何が変数かを見極めて解いていこう。2008年度は,Δ記号を使った問題が問題I,IIともに出題されたが,必ずしも微積を必要としない。微少な変化量の理解は物理の理解には必須である。かといって,微積を使った解法が必ずしも明快で短時間に解けるというものでもない。なお,論述問題などで,微積を駆使した解答をしても,適用に誤りがなければ,もちろんそのことによって減点されることはない。
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