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2008年度
入試速報
京都大学
入試問題の分析と対策

前期文系世界史B

■概要

試験時間:90分 大問数:4題

■京都大学の世界史B(前期文系)で求められる力

○各地域・時代の基本・標準レベルの知識を着実に答える力が必要。

京大入試では,アジア史・欧米史ともに各々1題は単答記述式が出題され,時代も古代から現代まで幅広く問われている。一部には細かい内容も問われるが,ほぼ教科書レベルの設問が中心である。また,その大問中で問われる小論述も,素直に事項や背景を説明するものが多いため,教科書をしっかり読んで地域別・時代別にきっちり整理し,各設問で着実に答えられる力が求められる。

○長文論述は,問題文の要件を正しく把握して答案を作成する力が必要。

京大入試では,長文論述が必ず出題される。テーマはオーソドックスなものが多いので,問題文の意図を正しく読みとり,指定字数内にいかに得点に結びつく要素を盛り込めるかが勝負となる。また出来事の経緯を問う問題や長期にわたる歴史のタテの流れが問われる問題などが頻出なので,単に知識を結びつけるだけではなく,自分の言葉でそれらを説明する答案作成力が求められる。

■最近6年間の出題状況
地域 2008 2007 2006 2005 2004 2003






































■最近6年間の出題状況
分野 2008 2007 2006 2005 2004 2003































※○は1題,◎は2題以上の大問でその地域と分野が問われたことを示す。

■2008年度入試の特徴

○基本的な用語の理解のほかに,時事的な事柄への関心の有無が問われた。

例年通り,大問は4題で,論述問題・記述問題がそれぞれ2題であった。論述問題のうち1題で指定語句が提示された。地域的には第1問・第2問がアジア史,第3問がヨーロッパ史であったが,第4問ではヨーロッパ史・アフリカ史と第二次世界大戦後の世界が出題された。全体としての分量・難易度は例年並みであったが,第4問では時事用語も問われた。

○昨年に引き続いて戦後史が出題され,文化史の比重は低かった。

例年通り,地域的にも時代的にもバランスのとれた構成であったが,地域的には日常学習で見落とされがちなアフリカ史が出題され,時代的には昨年に続いて戦後史が出題された。分野的には政治史が圧倒的部分を占め,社会経済史がこれに続いたが,文化史は昨年と同様にごくわずかにとどまった。

■2008年度 大問別出題分析
大問 出題地域/分野 難易度 内容と求められた力

やや難

唐末から宋代にかけての社会変動への理解がポイント。

例年通り300字の論述。テーマは宋代以降中国社会で指導的な役割を果たした士大夫について。士大夫自体の説明のみならず,彼らの経済的基盤となった土地制度,彼らが担った学術,さらには唐代までの土地制度・学術との対比への言及が求められた。唐末から宋代にかけての時代は中国社会が大きく変化した時代である。従来の支配層であった門閥貴族が唐末・五代十国時代に没落し,代わって士大夫が台頭したこともその例である。こうした変化を念頭におき,士大夫が果たした政治的・文化的な役割を叙述することが求められた。

Aやや難
B標準

北方民族史は中国史と結び付けて理解することが重要。

例年通り単答記述式の問題。Aはモンゴル高原の諸民族と中国の諸王朝との関係史。時代は前3世紀から10世紀までで,設問は朝鮮史にも及んだ。モンゴル高原の諸民族の興亡史は中国史の流れと結びつけて正しく理解しておくことが重要であるが,特に魏晋南北朝時代は複雑なので要注意である。また「冒頓単于」など漢字を正しく書けることも不可欠。Bはルブルックの旅を糸口としたモンゴル帝国時代のアジア史。アジアの東西が幅広く問われ,ヨーロッパ史関連の設問もみられた。A・Bともに設問はほぼ基本的であったが,Aでは一部細かい知識も問われた。

標準

基本用語を時代の順序通りに正しく用いることが鍵。

例年通り300字の論述だが,指定語句が提示された。テーマはアテネにおける民主政の展開で,古代ヨーロッパ史では頻出テーマのひとつである。指定語句である「民会」や「衆愚政治」をはじめ,「ソロンの改革」や「陶片追放」など論述に盛り込むべき用語は基本的であるが,これらを時代の順序通りに正しく並べ,それぞれがアテネの民主政の発展に果たした役割を的確に指摘することが不可欠である。また問題文中の「混乱をも経験」や指定語句の「衆愚政治」から,ペロポネソス戦争期の混乱状況への言及も求められていることに注意。アテネの民主政とペルシア戦争との関わりも見逃してはならない。

Aやや易
B標準
C難

教科書に記載のない時事的な用語にも注意。

単答記述式のほかに小論述が出題された。Aは宗教改革以降のヨーロッパにおける信仰の自由に関する問題で,3つの史料が引用された。設問はいずれも基本的。Bはウマイヤ朝期以降の西アフリカ史で,イベリア半島にも設問が及んだ。日常学習では見落とされがちな地域なので,偏りのない学習をしてきたか否かが問われた。Cは世界の一体化の進展がテーマで,第二次世界大戦後の世界が問われたが,難易度は高かった。(20)はほとんどの教科書に記載のない難問であり,(15)の「グローバル化」,(22)の「持続可能な開発」も時事的な用語といえるだろう。

※編集部が考える模範解答に対して,合格レベルであれば半分程度の答案を作成できると推測したものを「標準」とする。

■合格に向けての対策

○教科書を基本とし,地域的・時代的・分野的に偏りのない学習を心がける。

設問の大半は教科書レベルで対応できるものばかりなので,教科書をしっかり学習し,基本的な知識を正確に身に付けておくことが重要。ただし地域的・時代的に幅広い出題がなされるので,偏りのない学習が不可欠である。また社会経済史・文化史の学習も怠らないようにしよう。

○最も比重の高い中国史については,細心の注意を払って学習する。

大問2題を占めるアジア史のうち,必ず1題は中国史であり,もう1題も中国史が関連するケースが多い。したがって,中国史を重点的に学習しておくことが高得点獲得の鍵となる。中国の各王朝の政治的な出来事だけでなく,土地制度や税制度などの制度史,社会経済史,周辺異民族・周辺諸国家との関係史など様々な視点からの学習を重ね,どのようなタイプの問題にも対応できるようにしておこう。また中国史には必然的に漢字が伴う。歴史用語を漢字で正しく書けるよう練習することも必要だ。

○地域・時代をこえた学習や,戦後史の対策をする。

地域を横断的にみたり,1つの時代に留まらず,通史的に問う問題が長文論述で出題されることが多いが,こういった問題を攻略するためには,地域・時代をこえて広い視点を身につける必要がある。各地域史を学習しおえたら,特にイベリア半島やバルカン半島などの,多民族が存在したり他地域が相互関連しあった地域について,年表などでタテ・ヨコのつながりをまとめなおしておこう。また近年狙われやすい戦後史についても,地域ごとの流れを整理しなおしておこう。また,時事問題への関心や,現代社会など他科目で学習した内容が,問題を解くヒントとなることもある。

○各時代のイメージをつかみ,「流れ」を意識した学習をする。

京大の論述はある事象の展開過程や変遷など,いわゆる「経緯」が問われるケースが多い。そのため,事項をバラバラに記憶していくのではなく,学習の際に,背景や影響にも留意して知識を整理しておくことが重要だ。特に歴史の大きな転換点となった事件・出来事は,時代背景から影響まで説明できるようにしておきたい。

○求められている内容を着実に文章化できる「論述力」を養成する。

論述問題は毎年出題され,得点差がつくところでもあるので万全な対策が求められる。論述力を身につけるには,やはり自分で書いてみることが大切。まずは頻出テーマについて,100字程度でまとめてみることからはじめ,徐々に字数を増やしていこう。合格答案の作成には,要求されている論述内容(どの程度の深さまで,何を書くか,いくつの用語を盛り込むか)を読み取り,制限時間内にバランスよく文章化する練習が不可欠。京大過去問はもちろん,筑波大や早大(法)などの似たタイプの論述を課す他大学の過去問や,京大対策教材である京大特講『京大文系予想問演習』などで,答案作成力を鍛えよう。

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