試験時間:120分 大問数:5題
試験全体を通して,多様で多量な問題の処理が求められる。その傾向は近年ずっと続いている。
大学入学以降にも必要となる言語能力や論理的思考力を英語を介して見る問題が出題されており,不必要に高度ではないがしっかりとした文法知識や語彙力が不可欠である。さらに,英語での講義にも対応できるような高度なリスニング力が求められている。
| 大問 | 出題領域 | 2011 | 2010 | 2009 | 2008 | 2007 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 第1問(A) | 要約 | 論説文:科学教育のあり方について(250語) | 論説文:SFと科学の相互作用(350語) | エッセイ:些細なことにも意味を見出す素直な心(290語) | 論説文:人を顔で判断することの難しさ(270語) | 論説文:詩を読むことの創造的側面(280語) |
| 第1問(B) | 段落整序ほか | エッセイ:子の将来を案じる親と,子どもの反応(590語) | 論説文:小惑星の資源利用の可能性(720語) | エッセイ:万年筆のコレクション(910語) | 論説文:地底の微生物と生命の起源(940語) | 論説文:インドにおけるごみ処理とリサイクル(750語) |
| 第1問(C) | 文補充ほか | 論説文:ヨーロッパのコーヒーハウス(460語) | 出題なし | 出題なし | 出題なし | 出題なし |
| 第2問(A) | 自由英作文 | 子どもにペットを売ることを禁止する法律について:会話文完成(2箇所で30~40語) | もし世界に言語が1つしかなかったら:自由記述(50~60語) | 現代を生き抜く上での読書の役割:英文完成(2箇所で40~60語) | 共同研究発表の手順について:メール文完成(2箇所で30~40語) | リスニングに関する相談:内容説明(50~60語) |
| 第2問(B) | 自由英作文・表現・語彙 | 他者の痛みを理解することは可能か:自由記述(50~60語) | 派生語の空所補充(8箇所で8語) | 同意文書き換え(5箇所で10~25語) | 50年後の交通手段の変化と生活への影響:意見記述(50~60語) | UFOに気づく女の子と,気づかない男の子:イラスト説明(40~50語) |
| 第3問(A) | リスニング | 講義:風景について(590語) | 講義:「本」とは何か(480語) | 講義:超常現象に対する態度(540語) | 講義:ブータン社会の現状(420語) | 講義:都市化による歩く行為の減少(580語) |
| 第3問(B) | リスニング | 講義:Brook Farm という共同体について(570語) | 会話+スピーチ:卒業後の予定+30年後の同窓会にて(690語) | 会話:味覚について(490語) | 会話:集合住宅の建設案説明(430語) | 講義:アフリカ呪術について(470語) |
| 第3問(C) | リスニング | 会話:Brook Farmという共同体に関する講義を受けて(540語) | 講義:ロールモデルについて(220語) | 講義:石油資源の枯渇について(180語) | 議論:集合住宅の建設案説明を受けて(460語) | 会話:アフリカ呪術に関する講義を受けて(500語) |
| 第4問(A) | 文法・語彙 | 誤文訂正(160語) | 誤文訂正(140語) | 誤文訂正(130語) | 誤文訂正(220語) | 誤文訂正(130語) |
| 第4問(B) | 和訳 | 論説文:クロスワードパズルの流行(230語) | 論説文:映画スターの役割(280語) | エッセイ:ある女性の母親に関する追憶(220語) | 論説文:携帯電話とe-mailの意義の違い(220語) | 論説文:医療の性質と役割の変化(200語) |
| 第5問 | 読解総合 | 小説:言語障害のある少女と医師の出会い(980語) | 伝記:William Porterの伝記(1000語) | 論説文:必要悪としてのうその考察(930語) | 小説:母と娘(970語) | 小説:BACK HOME(1230語) |
※語数は概算です。
※第1問(B)の語数は選択肢の語数も含みます。
※第3問(B)の語数は読み上げられる質問文を含みません。
全体で5大問という構成は変わらなかったが,いくつか大きな形式の変化が見られた。2011年度は,第1問が従来の(A)(B)から(A)(B)(C)の3問構成になり英文量が増加した。第2問では2009年度,2010年度と2年連続で自由英作文が1問のみの出題だったが,再び2問に戻り記述量が増加した。また,第3問のリスニングは2年続いた(C)のディクテーションが姿を消し,(A)(B)(C)とも選択問題になり,それに伴い,3年ぶりに(B)(C)の英文内容が関連するものに戻った。さらに,(B)の質問文が問題用紙に書かれておらず読み上げられる形式になったことで,事前に内容の予測をするのが難しくなった。こうした全体の英文量や記述量の増加,リスニングの難化により,2011年度入試は,2010年度と比べるとやや難化した。多少の形式の変化にも動じず,様々な形式の問題に対して,論理的に考えて迅速に答えをまとめる力,高度なリスニング力が求められている。
| 大問 | 出題領域 | 難易度 | 内容と求められた力 |
|---|---|---|---|
| 第1問(A) | 要約 |
やや難 |
英文全体を通して,中心的な内容と補足的な内容を見極め,簡潔な日本語で論理的にまとめる力科学教育のあり方について書かれた英文の趣旨を日本語でまとめる問題。2010年度と同様理系のテーマの英文で,英文の長さは2010年度より100語程度少なくなった。特に難しい語彙・構文が用いられているわけではないので,英文の論旨は理解できるだろう。ただし,2010年度より20字減った70~80字という制限字数を考えると,まとめるのは容易ではない。解答は,結果的に,第1段落の最終文,第2段落の最終文,第3段落の最初と最後の文からまとめるとよいが,各段落の最初と最後にだけ注意しておけばよいなどという考えでは,東大の問題に太刀打ちできないだろう。あくまで全体を読んで筆者の主張を押さえることが重要である。その際に,第1段落のScience courses should …,第2段落のScience has to …,第3段落のcould naturally lead into …など,筆者の主張を表している表現に注目しながら読んでいくとよいだろう。また,第3段落は,ともすると具体例だと思ってしまうかもしれないが,「時間軸を枠組みとして使うこと」は筆者からの提案,すなわち筆者の主張であるので,要約文に含めなければならない。上記の3つの要点を解答に入れ込もうとすると,簡単に100字をオーバーしてしまうので,制限字数内に収めるためには,できるだけ無駄を削ぎ落としたうえで,英文の中心的な内容をとらえつつ,さらに的確かつ簡潔にまとめる高度な日本語力が必要である。 |
| 第1問(B) | 段落整序 |
標準 |
短時間で英文全体の流れをつかむ読解力2011年度は2007年度から2010年度まで続いた複数小問の出題ではなくなり,段落整序問題が1問だけとなった。英文は,「子の将来を案じる親と,子どもの反応」についてのエッセイで,語数は2010年度の第1問(B)と比べると100語以上減少した。平易な文なので,内容理解に苦労することはないが,評論文と比べると論理展開が必ずしも明確なわけではない。また,2009年度,2010年度に引き続きダミーの選択肢があり,埋めなければならない段落の数が1つ増えて5つになったので解くのに時間がかかってしまった受験生もいただろう。段落整序問題を解く際には,ディスコースマーカーや代名詞に注目するとよいが,ここでは,選択肢のIn the same wayが指しているものや,逆にthose thingsが指すものが見当たらないことが数少ないヒントになっている。それ以外は,意味内容の面から正解を導く必要があり,最終段落との意味のつながりから,空所の最後の段落を先に埋めるという手もあるだろう。いつでも通用するテクニックがあるわけではないので,結局,選択肢も含めたすべての英文に素早く目を通し,細かい部分にとらわれず各段落の役割や全体の流れを把握する力が問われている。配点が高くないであろうことを考えると,知らない単語があっても構わず読み進める姿勢が必要である。 |
| 第1問(C) | 文補充ほか |
やや難 |
短時間で英文全体の流れをつかむ速読力と必要に応じて詳細まで理解する精読力2010年度までは,第1問(B)に含まれていた,削除可能文選択問題,文補充問題,要旨選択問題が独立した問題。英文は,ヨーロッパのコーヒーハウスについての論説文で,1文1文が難しいというわけではないが,全体の論理展開はわかりにくい。2011年度の第1問(B)と第1問(C)の語数を合計すると1000語を超えており,2010年度の第1問(B)より300語以上増えた。(1)の,取り除いても大意に影響を与えない文を指摘する問題は,全体趣旨をよく理解して,「コーヒーハウスが商業的活動を超えて社会の中心となっていた」ということがわかっていないと,間違えてしまうかもしれない。(2)の文補充問題はさらに難しい。補充文のthis evidenceが何を指すかは一見すぐ見つかりそうだが,かなりひねられている。結局1文1文を正確に読み込み,逆接のhoweverで話の流れが切り替わることや,not straightforwardとto exaggerate what it describesの対応などをヒントになんとか正解を手繰り寄せるしかないだろう。(3)の要旨選択問題は(1)(2)に比べると標準的な難易度と言える。(C)全体としては,速読力と精読力の両方を必要とするやや難しい問題であるが,時間をかけ過ぎないようにするべきであろう。少しくらい自信がなくても,次の問題に切り替える思い切りが必要。 |
| 第2問(A) | 自由英作文 |
標準 |
文脈に合致した内容を文法的に誤りがない正確な英文で書く力子どもにペットを売ることを禁止する法律についての会話文の2箇所の空所を補充する問題。空所の制限語数はそれぞれ15~20語。一見すると簡単に見えるが,会話文をしっかり読まないと全体として矛盾した答えを書きかねないので注意が必要だ。基本的な考え方としては,(1)ではWow!という驚きの直後なので,子どもにペットを売ることを禁止する法律ができたことに対する素直な気持ちを表せばよい。(2)は相手の意見に対して,一度that’s trueと同意した後,Butと続けているので反論を述べる。ただし,最後にI guess you’re right.ときているので相手も納得するような内容の反論を述べる必要がある。ここを押さえたうえで内容を考えることになるが,例えば法律的な問題に焦点を当てるのか,ペットを飼う人のモラルなどに焦点を当てるのかでずいぶん変わってくる。自分の英語力とも相談しながら確実に書けそうな内容を選ぶことが大事である。さらに,会話文のOffendersは子どもではなく,ペットを売る側の人のことであることや,(2)は文の途中からなので小文字で始めなければならないことなどにも注意が必要だ。上記のことを踏まえたうえで,文法的に誤りのない正確な英文をきちんと書く力も当然必要である。 |
| 第2問(B) | 自由英作文 |
標準 |
シンプルな内容を文法的に誤りがない正確な英文で書く力第2問(B)は,2009年度が同意文書き換え問題,2010年度が派生語補充問題であったが,2011年度は東大らしい自由英作文に戻った。内容は「他者の痛みを理解することは不可能だ」という英文が与えられて,それについて「思うところ」を50~60語で述べる自由記述問題。「思うところ」を書くということで,何か特別な深い内容を書かなくてはいけないと思うかもしれないが,シンプルに,賛成か反対かを最初に述べて,その理由を1つ深めて書けばよいだろう。理由として書く内容は様々な視点から考えられる。例えば,「痛み」にも精神的苦痛と肉体的苦痛があるので,そのどちらかから,もしくは両方からアプローチすることができるだろう。もちろん,哲学的かつ抽象的なアイデアで掘り下げていくということもできるだろうが,英語表現の面で墓穴を掘る可能性も高いので,「痛み」を日常的な内容に引きつけて書く方が安全だろう。また,「understandとpainは,それぞれ一回しか用いてはならない」という条件は案外厳しい制約条件である。この制約条件をクリアする方法としては,seeやsufferingなどの近い意味の単語を使う方法や,painfulなど違う品詞で書く方法,be injuredやstomachacheなどの具体的な話に持っていく方法などが考えられる。50~60語なので,3~4文程度で書くとまとめやすいだろう。内容の自由度はかなりあるので,広く許容される可能性がある。だからこそ,時制や単・複数形,冠詞など,文法的に誤りのない正確な英文を書き上げる力が何よりも必要になる。 |
| 第3問(A) | リスニング |
難 |
読解問題レベルの難易度の,ある程度の量の英文を聞き取り,全体の流れをつかんだうえで,細部まで聞く力風景についての講義を聞き,問題用紙に印刷された内容一致問題に答える選択形式。講義の分量はここ数年で最も多く2010年度からは100語以上増えた。設問数は2010年度と同じく5問。あらかじめ問題用紙の設問内容(選択肢を含む)を確認しておくことは必須で,(1)(2)あたりを読めば風景についての定義の話なのだということはわかるだろう。ただし,選択肢を選ぶ際には,かなり細かい内容の理解や類推力が必要であった。特に(3)や(5)は解答を選びにくかったのではないかと思われる。さらに,素材文に使われている語彙や構文も読解問題として通用するレベルで,テーマも抽象的な内容であったので,受験生にとっては厳しいものだったと思われる。救いだったのは,設問の順番と,解答の根拠となる箇所の読み上げられる順番が一致していたことだが,それでも厳しいことには変わりがない。また,聞き取りの姿勢としては,英文を聞き取りながら,該当箇所が読み上げられた時点で設問に答えていくというのが基本であろう。1回目には各小問がどのあたりで読み上げられるのか把握しつつ,選択肢をできれば2つくらいまでに絞り込み,2回目に確定させるという形になるだろう。5分前後続く講義文なので,多少わからない部分があっても考え込まずに流れてくる英文について行き,全体の流れをつかむ力が必要。さらに,設問の該当箇所が読まれているところでは細部まで集中して聞きとる力も求められている。 |
| 第3問(B) | リスニング |
やや難 |
ある程度の量の英文を聞き取り,全体の流れをつかんだうえで,細部まで聞く力と,質問文などをメモする力Brook Farmという共同体についての講義を聞いて内容一致問題に答える選択形式。2010年度までは問題用紙に質問文と選択肢の双方が書かれていたため,事前に目を通して質問を踏まえながら英文を聞くことができたが,2011年度は,問題用紙には選択肢しか書かれておらず,質問文は後で読み上げられる形式となった。2010年度にあった「いずれも一致しない。」という選択肢も消えた。読まれる英文のテーマは,同じ講義形式の(A)に比べると抽象性が低いので,内容はつかみやすいはずだ。ただし,質問文が書かれていないので,1回目の聞き取りで焦点を絞るのはかなり難しいと思われる。1回目に読み上げられる質問文のキーワードをメモし,それをもとに2回目の英文の聞き取りに集中できるとよい。各小問は質問文さえきちんと聞き取れれば(A)よりは答えやすい。ただし,本文と答えの選択肢が言い換えられているものもあるので,油断はできない。また,(1)と(2),(3)と(4)の設問に該当する部分が近いので少しとまどうかもしれない。語数は(A)より少し短い程度で,やはり5分近く流れる英文なので,1回目の聞き取りで答えを絞りきれないであろうことを考えると,受験生にとっては厳しいものだったと思われる。 |
| 第3問(C) | リスニング |
標準 |
ある程度の量の英文を聞き取り,会話の状況を想像する力(C)では2009年度,2010年度と2年続けて出題されたディクテーションが消え,会話を聞いて選択形式の内容一致問題に答えるという2008年度以前の形式に戻った。また,内容は,(B)の講義を受けた後の会話で, 2008年度以来,3年ぶりに(B)と(C)の英文が関連するものになった。会話に参加する人数は3人だったが,3人中1人は教授で,残り2人は男女の学生なので,声質や話し方に注意すれば,話者の特定に苦労することはないだろう。語数が540語なので,ディクテーションのみの2010年度と比べて倍以上になっているが,例年の会話文の長さと比べると同程度である。各小問も(A)に比べると素直で,特に解きにくいものはなかった。人物関係とそれぞれの人物の主張を押さえながら,会話の流れを追い,しっかり得点したい問題である。 |
| 第4問(A) | 文法・語彙 |
標準 |
基礎的な文法・語彙の知識と,やや難しい英文の文構造と文意を正確に把握する力2010年度に引き続き,5つの短い英文を読んで,指定された文の中から「文法上取り除かなければならない語」を指摘させる問題。ただし,英文の意味を理解しないと文法上不要な語が選びにくいものもあり,文意を把握する力も求められた。英文自体の難度は,難しかった2010年度に比べるといくらか易しくなった。小問単位では,(2)(4)がalmost if not completely ... やreduce A to Bの倒置などの文構造をきちんと把握する必要がありやや難しく,(3)(5)はconsist ofやmay have beenなどの基本的な知識があれば解けたのでやや易しかった。2010年度に引き続き動詞(助動詞)が不要となるパターンがいくつか出題された。問われている文法・語法自体は,センター試験より少し難しい程度なので,基本的な知識を見直したうえで,同種の問題で訓練をしておけばよいだろう。また,2011年度から「該当する語とその直後の一語,合わせて二語をその順に記せ」という形式になったので,(2)のように小問の中にareが2つあっても解答になりうるようになった。第4問(A)の問題は,悩んで時間をロスしてしまう受験生もいるが,ある程度時間を決めておいて,わからなければ他の問題へ移った方がよいだろう。 |
| 第4問(B) | 和訳 |
標準 |
英文の構造を把握し,前後関係から単語の正しい意味をとらえる力クロスワードパズルの流行についての論説文を読み,指定された部分を和訳する問題。英文全体の語数は2010年度より50語程度減った。語彙レベルもさほど高くなく,和訳部分にも特に難解な語句はなかった。しかし,(1)では,most commonly presentedを「提示されるのが最も一般的である」のように自然な日本語に訳せたか,(2)ではwith its obvious puzzle-solving appealの挿入句とdetective fictionとの修飾関係がわかるように自然な日本語にできたか,(3)では,thusの訳出, send + O + hurrying の受動態の訳出,非制限用法のwhichの訳出ができたか,などで差がついた可能性はある。この程度の和訳は難なくできるように,英文全体の流れを把握したうえで,語句の文脈上での意味や,英文の構造を,しっかり押さえた訳し方を練習する必要がある。 |
| 第5問 | 読解総合 |
標準 |
ある程度の長さの長文を読みきり,人物関係と話の展開を把握したうえで,細部を正確に理解していく力2009年度は論説文,2010年度は伝記だったが,2011年度は以前の東大らしい小説問題に戻った。英文は言語障害のある少女と医師の出会いについての小説で,構文や語彙は特に難しくないが,冒頭の場面設定が把握しにくい。語数は2010年度とほぼ同じ程度で,2008年度以降1000語弱という形が続いており,今後もこの傾向が続く可能性が高そうだ。様々な種類の設問が設けられているという形式は変わらないが,2010年度に引き続き内容説明の記述問題がなく,記述問題は整序英作文と和訳だけであった。話の展開を追うことができていれば,まず答えられるだろう素直な設問も多いが,(1)の空所にせりふを入れる問題と(2)の下線部が誰を指すかを選ぶ問題はやや難しかった。特に(2)の冒頭箇所の人物把握の問題は,登場人物も多く,小説を苦手とする受験生の中には後半まで読み進めないとわからなかった人もいたと思われる。 (5)の整序英作文は不要語が2語になったものの,並べ替える語が不要語を抜いて6語だったことと,文意が把握しやすかったこともあり,例年より易しかった。 (8)の和訳も特に難しくないが,itが指すpaperweightの訳やthat feelingがどこを指すかで迷った受験生もいるかもしれない。that feelingはshe feltをヒントにすれば,直前のダッシュで囲まれた部分を書けばよいことがわかるだろう。第5問全体で見ると,標準的な良問であったと言える。第5問の長文読解では英文の単純な長さに圧倒されないよう,生の英語素材をどんどん読んで耐性をつけておきたい。 |
※「難易度」は,全問題中での相対難易度。合格者の正答率が6割程度だと東大特講編集部が推測したものを「標準」とした。
東大入試は問題量が多く,英文を何度も読み返すだけの時間的余裕はない。標準的な語彙から成る英文でよいので1000語を超えるような文章を一気に読み通す練習をしておこう。そうすれば,多量の英文にも慌てずに対応でき,論旨をつかめるようになる。過去問を中心に,要約,段落整序,和訳など各設問形式に合わせて演習すること。記述解答力を高めるためには,書くべきことを見極めてから解答を必ず自分で書き,読み返す習慣を身につけること。
一定のテーマ・話題についての自分の意見や説明などを50語程度の平易な英語で書く練習をしよう。日本語でまず要点をまとめるのはよいが,日本文を完成させてからそれを英訳するというやり方はしないようにする。英文に訳す際にそれが妨げになる可能性があるからである。英語の論理展開を意識して書く練習が必須である。第三者の添削を受け,自分の答案を客観的に評価してもらう機会を増やすとよい。また,答案の精度を高めるためにも,冠詞(必要なaを抜かさない,不要なtheをつけない)や前置詞の正確な用法に特に注意を払って英文を書くようにしよう。『東大特講「要点メモ」で攻略する東大自由英作文』などで,日頃から訓練しておくことが重要である。
本番では講義形式の英文は約5分,しかもネイティブスピーカーが話す自然なスピードの英語で流れ続ける。したがって,普段からある程度まとまりのある英文をナチュラルスピードで聞くようにして集中力を養い,聞きながら要点のメモを取る習慣を身につけたい。リスニング教材を何度も聞き,音声面での特徴(強弱のつけ方,音のつながり,切れ目など)に慣れておき,自分でも言えるようになるまで音読練習を重ねるとよい。『東大特講「展開推測」で攻略する東大リスニング』では,5分程度の長さの講義文に対して,段階を追った演習ができるので,利用するとよいだろう。
用例も含めて覚えるようにし,実際に読んだり書いたりする際に使えるようにしておくこと。
進研ゼミ東大特講・京大特講による、東京大・京都大をめざす高校生のための情報サイト。合格した先輩の学習法・体験談・メッセージや大学の情報などを掲載中。