試験時間:(2科目)150分 大問数:4題
東大では例年,大問4題で,世界史・地理とは異なりすべて論述問題が課される。古代,中世,近世,近・現代から1題ずつ出題されるのが通例であるが,時代を問わず政治史・社会経済史中心の出題が多く,歴史の流れや変化を問う傾向が強い。また政治史以外の出題でも,その背景となる政治的な動きや歴史の流れと関連づけた理解が問われる。各事象について,その内容・背景・原因・目的・結果を一連の流れとしてとらえることが大切であり,表面的な知識にとどまらない深い理解が求められる。
東大の論述問題には,史・資料,年表,文章,写真などが提示されることが多い。しかも,そこから読みれることを解答に盛り込み,自分の知識と合わせて比較的短い字数でまとめる力が求められる。まず,設問文をよく読み,与えられた素材の,出題意図と対応する部分をすばやく見つけ出す力が必要。さらに,自分の持っている知識を駆使して,短時間で出題意図に即した,正確かつ論理的な解答を構成する力が必要だ。
| テーマ | 2008 | 2007 | 2006 | 2005 | 2004 | 2003 |
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| テーマ | 2008 | 2007 | 2006 | 2005 | 2004 | 2003 |
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※○は1題,◎は2題以上の大問でその時代・分野が問われたことを示す。
昨年度,2大問にわたって出題された文化史が,今年度は1小問の出題にとどまり,外交史からの出題もなくなるなど,政治史中心の出題となった。また,6行(約180字)で答える問題がなくなり,最大でも4行(約120字)の論述問題となった。第2問で「中世における神と人の関係」や,第4問における「内閣の成立と戦争との関連」といった解答のポイントを絞り込むのに苦労する出題が見られ,史・資料の的確な読み取りと比較的短い文章の構成力が求められた。
毎年のことではあるが,基本的知識を前提に資料文を読み取り,自分の持っている知識と合わせて論述する問題が見られた。出題の意図を的確に把握し,資料文を読み解き,自分の持っている知識と合わせて,論述する力を養うことが重要である。
| 大問 | 出題時代(テーマ) | 難易度 | 内容と求められた力 |
|---|---|---|---|
| A標準 B標準 |
与えられた文章から解答のポイントを読み取って,規定字数でまとめる文章構成力が必要Aヤマト政権の下での軍事力のあり方,律令国家における兵士の供給源としての東国の役割について論ずるもので,与えられた(1)(3)(5)の文章の内容から書くべきポイントを導き,題意に応じた文章を作成する。ヒントが明示されてはいるものの,規定字数が少ないので,受験生はコンパクトな文章の作成に苦労したと思われる。B古代の内乱の傾向をふまえて,内乱への対処法を論ずるもので,与えられた(2)(4)(6)の文章の内容をふまえてまとめていけばよい。文章からは,中央も東国からの兵士供給に依存していたこと,反乱者も東国の兵に依存していたこと,壬申の乱後には三関を置き,有事においては関を閉鎖して東国への脱出を防いだことが読み取れるので,それを規定字数の中で要約していけばよい。 |
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A標準 B標準 Cやや難 |
写真や文章から解答のポイントを読み取り,自分の持っている知識をおりまぜてまとめる論述力が必要中世の一揆について,参加者相互の関係や,中世の人々の「神」の意識について論述する問題。A写真資料を見て「署名者相互の」関係を問う問題である。傘連判状については,署名者の関係や特徴的な形状の意図について,図説などに写真とともに説明されているので,注意して学習していれば非常に平易な問題である。 B一揆結成以前と以後の参加者相互の関係の変化という切り口から問われている。血縁的結合から地縁的結合への変化というポイントに気がつくかどうかで解答に差が出たと考えられる。 C中世の人々にとっての「神」と「人」の関係,という漠然とした問い方をしているので,どのように的をしぼって答えればよいかわからなかった受験生が多かっただろう。資料文(2)(3)から自らの問題解決や行動の正当性を神意に求めていたこと,(4)から神はその意に逆らえば神罰を下す存在として意識されていたことを読み取って論述することがポイントとなる。 |
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A標準 Bやや易 |
与えられた史料から解答のポイントを読み取り,教科書から得た知識にもとづいてまとめる論述力が必要東大の史料問題は,ここ数年この問題のように現代語訳されたものが扱われている。問題としては4大問中最も取り組みやすい問題であっただろう。A(1)~(3)の史料から松平定信が考えていた当時の農村の状況についてまとめればよい。ただ漠然と近世後半の農村の状況をまとめるのではなく,史料から読み取れる,定信の目から見た農村の状況を要約しながらまとめることが肝要である。 B教科書から得た寛政の改革の諸政策についての知識をふまえ,旧里帰農令や出稼ぎの禁止,倹約令などによる商業的農業の抑制,囲米の実施や社倉・義倉の設置などをまとめていけばよい。ただ知識を羅列するのではなく,前の問題で挙げた定信の問題意識と対応させ,ポイントとなる項目を取捨選択して,的確にまとめる必要がある。高得点がねらえる設問だけに,確実に得点しておきたい。 |
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A標準 Bやや易 |
「時代背景」を把握し,「歴史的経緯」をふまえてまとめる論述力が必要政党内閣である第1次大隈重信内閣と,原敬内閣の成立の要因について論述させる問題。解答のヒントとなる文章や,資料は提示されていないので,自分の知識をもとに要点をまとめていく文章構成力が求められた。A問われている内容は平易なもので,日清戦争後の軍備拡大のための地租増徴案の提出,それに反対する憲政党の結党,伊藤博文内閣の政権放棄といった,教科書に掲載されている一連の流れをまとめていけばよい。 B原内閣の成立の要因を,社会的背景をふまえて説明する必要がある。社会的背景は,米騒動に代表される社会運動の高揚について触れながら,内閣成立の経緯を説明していけばよい。「本格的な」政党内閣の条件として,原敬が衆議院議員であり衆議院第一党の総裁であることにもふれられていると高得点がのぞめるだろう。 |
※難易度は,編集部が考える模範解答に対して,合格レベルであれば半分程度の答案を作成できると推測したものを「標準」とする。
東大の入試問題とはいえ,出題される内容は教科書で十分対応できる。論述問題に取り組む前提として,教科書の基本的知識を確実に身につけておくことが必要だ。また,単なる知識としてではなく,歴史の流れの中に位置づけ,歴史的事象の背景や経緯への理解を伴った歴史的思考力を養っていくことが求められる。過去問で求められた知識(素材で与えられているものを除く)が,どのように教科書に記載されていたのかを確認してみよう。今年度第4問Aなどは,教科書の理解が試されていたことを実感できるだろう。
近年,東大の論述問題では,与えられた素材を読み取って解答としてまとめる,いわゆる要約型の出題が見られるようになった。このような出題に対応するために,過去問などの演習を通して論述問題を解くステップを確立させておこう。まず,問題文を読んで題意を明確にし,得点要素となるポイントを与えられた素材から抜き出す。そのポイントを自分の言葉で文章として整理していく,といったステップで,与えられた時間内に文章を構成する訓練しておきたい。
東大の論述問題では,教科書に載っていない知識ではなく,教科書の知識をベースに,「政治との関連」や「歴史的経緯」をふまえて論述する,論理的思考力が求められる。教科書は各事象の内容・背景・原因・目的・結果などを理解することを心がけて精読しよう。論述問題に取り組む際には,条件に合わせて,知識を再構成して論述する訓練をし,論理的思考力を身につけておこう。
東大の論述問題に慣れるには,東大の過去問や予想問に取り組むことが必要だ。近年の東大の論述問題は合計700字程度の解答量を75分(2科目150分)で取り組まなくてはならないので,時間配分にも注意しておきたい。直前期には,過去問はもちろんのこと,進研ゼミの東大特講√T『東大文系 予想問演習』に取り組んでおくことをオススメする。
進研ゼミ東大特講・京大特講による、東京大・京都大をめざす高校生のための情報サイト。合格した先輩の学習法・体験談・メッセージや大学の情報などを掲載中。