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2010年度
入試速報
東京大学
入試問題の分析と対策

前期英語

■概要

試験時間:120分 大問数:5題

■東京大学の英語(前期)で求められる力

○高度な情報処理能力が求められる

試験全体を通して,多様で多量な問題の処理が求められる。その傾向は近年ずっと続いている。

○本質的な言語能力や論理的思考力が求められる

大学入学以降にも必要となる言語能力や論理的思考力を英語を介して見る問題が出題されており,不必要に高度ではないがしっかりとした文法知識や語い力が不可欠である。

■最近5年間の出題状況
大問 出題領域 2010 2009 2008 2007 2006
第1問(A) 要約

論説文:SFと科学の相互作用(350語)

エッセイ:些細なことにも意味を見出す素直な心(290語)

論説文:人を顔で判断することの難しさ(270語)

論説文:詩を読むことの創造的側面(280語)

論説文:民主主義の功罪(240語)
第1問(B) 段落整序 他

論説文:小惑星の資源利用の可能性(720語)

エッセイ:万年筆のコレクション(910語)

論説文:地底の微生物と生命の起源(940語)

論説文:インドにおけるごみ処理とリサイクル(750語)

論説文:ある島の祭り(1090語)
第2問(A) 自由英作文

もし世界に言語が1つしかなかったら:自由記述(50~60語)

現代を生き抜く上での読書の役割:英文完成(2箇所で40~60語)

共同研究発表の手順について:メール文完成(2箇所で30~40語)

リスニングに関する相談:内容説明(50~60語)

競争の教育的効果について:内容説明(60~70語)
第2問(B) 自由英作文・表現・語い

派生語の空所補充(8箇所で8語)

同意文書き換え(5箇所で10~25語)

50年後の交通手段の変化と生活への影響:意見記述(50~60語)

UFOに気づく女の子と,気づかない男の子:イラスト説明(40~50語)

人生の決断:意見記述(60~70語)
第3問(A) リスニング

講義:「本」とは何か(480語)

講義:超常現象に対する態度(540語)

講義:ブータン社会の現状(420語)

講義:都市化による歩く行為の減少(580語)

講義:サマータイム(530語)
第3問(B) リスニング

会話+スピーチ:卒業後の予定+30年後の同窓会にて(690語)

会話:味覚について(490語)

会話:集合住宅の建設案説明(430語)

講義:アフリカ呪術について(470語)

会話:商品発表(430語)
第3問(C) リスニング

講義:ロールモデルについて(220語)

講義:石油資源の枯渇について(180語)

議論:集合住宅の建設案説明を受けて(460語)

会話:アフリカ呪術に関する講義を受けて(500語)

インタビュー:商品発表(450語)
第4問(A) 文法・語い

誤文訂正(140語)

誤文訂正(130語)

誤文訂正(220語)

誤文訂正(130語)

文中語句整序(340語)
第4問(B) 和訳

論説文:映画スターの役割(280語)

エッセイ:ある女性の母親に関する追憶(220語)

論説文:携帯電話とe-mailの意義の違い(220語)

論説文:医療の性質と役割の変化(200語)

論説文:提案と合意(120語)
第5問 読解総合

伝記:William Porterの伝記(1000語)

論説文:必要悪としての嘘の考察(930語)

小説:母と娘(970語)

小説:BACK HOME(1230語)

随筆:テレビ時代に現実と虚構を取り違える社会現象(780語)

※語数は概算です。
※第1問(B)の語数は選択肢の語数も含みます。

■2010年度入試の特徴

○第2問(B)が2年連続自由英作文ではなくなり易化したが,全体としては,分量,問題の難易度ともに2009年度並。

全体の問題構成,分量とも例年とほぼ変わらないが,第1問(A)は具体例を含めた形での要約が求められ, 第2問(B)は自由英作文ではない問題が2年連続となり,2009年度の同意文書き換え問題から,さらに簡単な派生語を問う語い問題になった。第3問のリスニングも2009年度に引き続き(C)がディクテーションのみであった。また,第5問は2009年度論説文になったが,定番となっていたストーリー性のある素材(伝記)に戻った。全体として理系寄りの文章テーマが多かったが,文系でも十分に対応できる内容で,設問も素直で解きやすいものであったので,2009年度とは難易度に変化はなかった。例年通り,様々な形式の問題に対して,論理的に考えて迅速に答えをまとめる力が求められている。

■2010年度 大問別出題分析
大問 出題領域 難易度 内容と求められた力
第1問(A) 要約

標準

具体例の役割を含めた全体を把握し,論理的にまとめる力

SFと科学の相互作用について書かれた英文の要点を日本語でまとめる出題である。文章のテーマが理系に寄ったもので,語数も少し増えて2Pにまたがる英文となったが,語い・構文は平易なので,文系だから内容が把握しにくいというようなことはない。また,2010年度は具体例を含めて要約するように指示されたので,「要約問題では具体例を排除する」と思っていた受験生は少し戸惑ったかもしれない。解答は第2段落の,SFと科学には相互作用があるという部分を中心に,具体例で肉付けしていけばよいが,相互作用なので,「SFから科学」と「科学からSF」の両方の流れに対する具体例を含めるべきだろう。そうすると2009年度より20字増えて90~100字での要約となったとはいえ余計な事を書く余裕はないはずだ。「各段落から1文ずつ拾い出してまとめなければ」と思ったり,「第1段落の最初の文や最終段落の最後の箇所を必ず含めないといけない」と考えてしまったりすると具体例を入れるのが非常に厳しくなってしまうので,全体の流れの中での各段落の役割に注意してまとめよう。解答の制限字数を考えて,どこまでの内容を要約に含めるか見極めたうえで,きちんとまとめる日本語力が必要である。
第1問(B) 段落整序 他

標準

短時間で英文全体の流れをつかむ読解力

2010年度も2007~2009年度と同様の多角的な出題が踏襲された。英文は,小惑星の資源利用の可能性を述べた論説文で,語数は2009年度より約200語減った。理系のテーマだが,かなり詳しい語注がついていることもあり,内容把握に苦労することはない。(1)の取り除いても大意に影響を与えない文を選ぶ問題や(2)の文章補充問題はともに平易で,第1問(B)の問題形式を意識して練習してきた受験生なら読みながらすぐ答えられただろう。(3)の段落整序の設問は,2009年度に引き続きダミーの選択肢があり,さらにダミー選択肢の語数が増えたので,かなり手間がかかるが,Butなどの接続詞や重複する語がかなりヒントになり,きちんと読めば答えられる範囲の問題なので,難化したとは言えない。(4)の文章全体の中での最終段落の要点を選択する設問からもわかるように,細かい部分にとらわれず各段落の役割や全体の流れを把握する力が問われている。知らない単語があっても構わず読み進める姿勢が必要である。
第2問(A) 自由英作文

標準

文法的に誤りがない正確な英文を書く力

「全世界の人々がみな同じ一つの言語を使用しているとしたら,我々の社会や生活はどのようになっていたと思うか。」という問いに対して,与えられた書き出しに続けて自由に記述する問題。仮定法過去の書き出しが与えられているので,英文の形に迷うことも少ないだろうし,複数の文で書いてよいので比較的自由に楽に書ける。また,「世界に一つの言語だったら」という仮定は身近なテーマであるし,内容も思いつきやすい。語数は50~60語なので,最初の文も合わせて3文程度で書くとまとめやすいだろう。設問にある通り「我々の社会や生活はどのようになっていたと思うか」さえ書いていればいいので,内容面では差がつきにくい。だからこそ,時制や単・複数形,冠詞など文法的に誤りのない正確な英文を書きあげる力が何よりも必要になる。
第2問(B) 語い


派生語を含む単語力

2009年度の同意文書き換え問題から,2010年度はさらに易しい派生語の空所補充問題になり,自由英作文ではない出題が2年連続となった。問われている知識も,難解な派生語の知識ではなく,高校1年生でも知っているようなものばかりであった。(1)に用いるweakenという動詞などを自分で英作文に使えるような受験生は少ないかもしれないが,派生語1語を埋めるだけならば間違うことはないだろう。派生語を含めた基本的な単語力が必要とされており,受験生は絶対全問正解が求められるが,全問正解するだけでなく,他の問題に時間を回すためにも,3分程度で解いてしまいたい。
第3問(A) リスニング

標準

ある程度の量の英文を聞き取り,全体の流れをつかんだ上で,細部まで聞く力

「本」とは何かについての講義を聞き,問題用紙に印刷された内容一致問題に答える選択形式。講義の分量は2009年度から若干減った程度で,設問は6問から5問になった。あらかじめ問題用紙の設問内容(選択肢を含む)を確認しておけば,設問内容が具体的だったので内容の推測はしやすい。特に(2)を読めば「”book”の本質とは何か」に注目して聞けばよいことがわかるだろう。英文の流れを素直に追っていけば,設問の答えもある程度常識で絞ることもできるので,本文に当てはまらない選択肢を選ぶ2問も含め,解きにくくはないだろう。少し難しい語いが使われているが,どういう意味なのかを考えこまずに次々流れてくる英文について行き全体の流れをつかむ力が必要。そして,全体の流れをつかみつつ,設問の該当箇所が読まれているところでは細部まで集中して聞き取ろう。
第3問(B) リスニング

標準

ある程度の量の英文を聞き取り,会話の状況を想像する力

「卒業後の予定」について話された会話とその30年後の同窓会でのスピーチを聞いて問題用紙に印刷された内容一致問題に答える形式。今までは第3問(B)全体が会話となっていることが多かったが,1問の中で会話とモノローグが組み合わされる珍しい形式となった。さらに,各小問とも「いずれも一致しない。」という選択肢が採用されたのは初めてであり,若干形式に戸惑った受験生もいるかもしれない。ただ,読まれる英文のテーマは日常的になじみのあるものでわかりやすく,正しい選択肢を見極めていく作業は結局同じなので実際はそこまで解きにくくはないだろう。また,会話とモノローグが組み合わされる形式も,会話の人数が2009年度の3人から2人になったことで,話者は特定しやすくなったはずなので,語数が490語から690語に増えたことを考慮しても難易度に変化はない。(3)が少し迷う以外は,設問内容も素直なものなので比較的解きやすい。
第3問(C) リスニング

標準

中程度の量の英文を聞き取り,細部の音声まで正確に聞き取り書く力

ロールモデルについての英文を聞いて空所の英文をディクテーションさせる問題。2009年度のディクテーションのみという形式が踏襲され,(B)(C)がそれぞれ独立した英文というのも同じであった。また,英文の長さは2009年度より少し増加し,書き取りの箇所は2009年度の4問から6問に増加した。ただし,全文が問題用紙に印刷されており,書き取る箇所は,それぞれ3~5語と,一気に書き取る量としては2009年度より少なくなり,特に音の連結が難しい部分が問われているわけでもないので,取り組みやすいものであったと思われる。とはいえ,ディクテーションの力は一朝一夕で身につくものでもないので,普段から細部まで音声を聞き取って書く練習をしておく必要がある。また,(4)のthose whose decisionsなどはあまり目にする形ではないので,2回聞き終わった後に書いたものが文法的に正しいか検証する力も必要である。
第4問(A) 文法・語い

やや難

基礎的な文法知識と,やや難しい英文の文構造と文意を正確に把握する力

科学における発見に関する5つの短い英文から文法上取り除かなければならない語を指摘させる問題。従来は1つのまとまった英文の中からの出題であったが,2010年度は5つの短い英文からそれぞれ1小問ずつの出題となった。また,2009年度は文脈上不要なものを取り除くことも求められたが2010年度は文法上の観点だけになった。ただし,英文の意味を理解しないと文法上不要な語も選びにくいはずで,その英文自体が抽象的で難しいものだったのでかなり受験生には厳しいものであったと思われる。問題の中では,(1)(2)(5)がやや難しく(3)(4)は標準的であり,(1)や(5)は動詞(準動詞)が不要となるパターンで解きにくかったかもしれない。一度正解が分かってしまえば,確かに問われている文法・語法自体は,センター試験レベルのものではあったが,同種の問題で訓練をしていないとかなり難しいと思われる。必ず使えるテクニックではないが「1文の中で重複している語は答えになりにくい」というのも解答する際の指針となるだろう。最もまずいのはこの問題で迷いすぎることで,ある程度時間を決めておいて,わからなければ他の問題へ移った方が賢明だ。
第4問(B) 和訳

標準

文の構造を把握し,前後関係から単語の正しい意味をとらえる力

スターの役割についての論説文を読み,指定された部分を和訳する問題。英文全体の語数は2009年度より少し増えたが,語いレベルはさほど高くなく,和訳部分でも特に難解な語句はなかった。しかし,(1)ではpromiseを文脈にふさわしく「保証」の意味で訳出できたか,(2)ではon the strength of whose name ...の部分の,制限用法の関係詞節の構造を正しく把握し自然な日本語にできたか,(3)ではthe raw material of the personのofが同格のofだと見抜けたかで差がついた可能性はある。この程度の和訳は難なくできるように,英文全体の意味を把握したうえで,英文の構造をしっかり押さえた訳し方を練習する必要がある。
第5問 読解総合

やや易

ある程度の長さの長文を読み切り,話の展開を把握した上で,細部を正確に理解していく力

2009年度の論説文の読解から,2010年度は定番となっていたストーリー性のある素材の読解に戻った。英文はWilliam Porter(=O. Henry)の伝記で,易しめの語いで構成されており,わかりやすいものだった。語数は2009年度と比べて少し増加しており,2008年度と同水準に戻った。今後は2010年度くらいの英文の長さが基準となるかもしれない。様々な種類の設問が設けられているという形式は変わらないが,内容説明の記述問題と要約文の空所補充問題が姿を消した。いずれの設問も基礎がしっかりしていれば容易に対応できるもので, 選択問題は,話の展開を追うことができていれば,いずれも該当箇所の周辺を読むだけで解答が得られ,紛らわしい選択肢も特にない。(4)の和訳も特に難しくなく,(7)の整序英作文も2009年度の整序より易しくなり,空所直前のsoをヒントに容易に正解できるだろう。ただ,2009年度にあったような英文を読まなくても答えられるというような問題は無くなり,標準的な良問であったと言える。第5問の読解総合ではとにかく英文の単純な長さに圧倒されないように生の英語素材をどんどん読んで耐性をつけておきたい。

※「難易度」は,全問題中での相対難易度。合格者の正答率が6割程度だと東大特講編集部が推測したものを“標準”とした。

■合格に向けての対策

○読解

東大入試は問題量が多く,英文を何度も読み返すだけの時間的余裕はない。標準的な語いから成る英文でよいので1000語を超えるような文章を一気に読み通す練習をしておこう。そうすれば,多量の英文にも慌てずに対応でき,論旨をつかめるようになる。過去問を中心に,要約,段落整序,和訳など各設問形式に合わせて演習すること。記述解答力を高めるためには,書くべきことを見極めてから解答を必ず自分で書き,読み返す習慣を身につけること。

○英作文

一定のテーマ・話題についての自分の意見や説明などを50語程度の平易な英語で書く練習をしよう。日本語でまず要点をまとめてもよいが,日本文を完成させてからそれを英訳するというやり方はしないようにする。英文に訳す際にそれが妨げになる可能性があるからである。英語の論理展開を意識して書く練習が必須である。第三者の添削を受け,自分の答案を客観的に評価してもらう機会を増やすとよい。また,答案の精度を高めるためにも,冠詞(必要なaを抜かさない,不要なtheをつけない)や前置詞の正確な用法に特に注意を払って英文を書くようにしよう。日頃からの訓練が肝要である。

○リスニング

本番では講義形式の英文は約5分,しかもネイティブスピーカーが話す自然なスピードの英語で流れ続ける。したがって,普段からある程度まとまりのある英文をナチュラルスピードで聞くようにして集中力を養い,聞きながら要点のメモを取る習慣を身につけたい。リスニング教材を何度も聞き,音声面での特徴(強弱のつけ方,音のつながり,切れ目など)に慣れておき,自分でも言えるようになるまで音読練習を重ねるとよい。

○文法・語い

用例も含めて覚えるようにし,実際に読んだり書いたりする際に使えるようにしておくこと。

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