試験時間:100分 大問数:4題
「問題の状況を把握するのに時間がかかる問題」「問題の解釈は比較的容易だがいろいろな解法が考えられる問題」「煩雑な計算にもミスなく対応する確実な計算力を必要とする問題」が全て出題される。言い換えれば,問題を解釈し,解法を構築し,答案として発信する,その全ての力を高いレベルで求められるということだ。
問題の題材として,微積分・確率・整数・図形と方程式・論証などが多く,それらが分野横断的な融合問題として出題される。また,定理・公式の運用だけでなく,その定理・公式の意味をその必要十分性まで踏まえて正しく理解しているかが問われるような難問が,問題セットの中に含まれている。テクニックに頼るのではなく,自分の頭で考えられる力が必要なのである。
| テーマ | 2010 | 2009 | 2008 | 2007 | 2006 |
|---|---|---|---|---|---|
| 方程式・不等式 |
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○ |
| 2次関数 |
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| 図形と方程式 |
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○ |
○ |
○ |
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| 三角比・三角関数 |
○ |
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○ |
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○ |
| 指数関数・対数関数 |
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| 微積分 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
| 場合の数・確率 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
| 平面図形 |
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○ |
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| 空間図形 |
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| 平面ベクトル |
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| 空間ベクトル |
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| 数列 |
○ |
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○ |
○ |
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| 論証 |
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○ |
○ |
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| 整数問題 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
※○は1題の大問でそのテーマの力が問われたことを示す。(解答で用いられる知識は解法による。ここでは,受験生が試験本番で実際に使えると東大特講編集部が判断した解法をもとに,テーマのカウントを行っている。)
問題セットとしては,頻出の整数問題,確率,微積分は2010年度も出題され,例年と比較して出題分野に大きな変化はなかったと言えるが,論証問題は出題されなかった。また,全体の難易度は2009年度並みであった。絶対に落とせない問題や,完答は難しくても能力に応じて部分点を稼ぐべき問題がバランスよく含まれており,全体として,東大生に必要な学力を測るためにふさわしい内容であった。
2010年度は,第1問と第2問の2大問は合格するのには落とせない問題,第3問と第4問は完答が難しく得点を拾う問題というように,大問間で難易の差がはっきり分かれた。完答しなければならない問題では,基礎をきちんと理解し,基本的な定理・公式を適用して正確に計算できる力が求められた。一方,完答が難しい問題では,例年通り,本質的な部分まで理解し,論理的な過不足のない答案を作成する能力が求められた。例えば,第4問では,幾何的な条件を式に表し,きちんと場合分けして,もれなく丁寧に調べ上げて答案を作成できるかが問われた。
| 大問 | テーマ | 難易度 | 内容と求められた力 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 三角比・三角関数 |
やや易 |
三角比・三角関数について基本事項をしっかりと理解していることが問われた。センター試験で出題されるような,座標平面上の2つの三角形の面積に関する問題。(1)では符号のケアレスミスに,(2)では三角関数の合成を行う際に偏角が具体的な値として求められないことに注意。ただ,設問で「そのときのsinθの値を求めよ」と出題してくれているので,気をつけながら解くことができる。 センター試験のような問題とはいえ,マーク形式ではないので,問題の設定状況を正しく把握し,それを定式化できる能力が要求されており,自力で結果までの筋道を構築して答案を書き上げる力が必要だった。 2009年度同様,文系の第1問は,受験生にとって易しい出題となっている。この問題を完答したことにより,受験生はかなり落ち着けたのではないだろうか。 |
| 第2問 | 微積分 |
易 |
文字の役割(定数と変数)についての理解と確かな計算力が求められた。計算問題としての微積分と恒等式の問題。題意は把握しやすく,何を実行するかについての見通しも容易につく。ただ,使われている文字が多く,定数と変数の区別はきちんとしておきたい。特に,積分変数がtなので,積分の計算においてはxを定数と見なさなければならないことには要注意。 計算が正確にできれば難しいところはない。数学の基本は計算であるということを再確認させられる問題。第1問と合わせて,第2問も確実に完答しておきたい。 |
| 第3問 | 場合の数・確率 数列 |
難 |
題意を的確に読み取る力とそれを数式化することができる力を求められた。コインの表裏,および箱に入っているボールの個数により次の操作が決まる試行の確率と漸化式の問題。題意を正確にとらえ,ボールの移動の様子をきちんと考える力が要求された。問題文の例になっている
というヒントを,まず実際に体感することが重要である。一方で,問題文の「 に対してうまく を選び」という部分は,あまり見慣れない表現だったので,戸惑ってしまった受験生も多いだろう。(1)では,どちらかの箱に入っているボールが0個になったら,それ以降はボールが動かなくなることや, が15以下と16以上で場合分けすること,さらに,
という確率が2回目~ 回目までの
回の試行の確率を表している,ということが考えられたかどうかがポイントだった。(2)については,(1)の結果を利用して,素直に解いていくことができたが,(1)は解けていなくても,(2)のみを解くことも可能であった。
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| 第4問 | 整数問題 |
やや難 |
幾何的な条件を的確に表現する能力と,整数の性質を使って論理的に答えを求めていく表現力を求められた。円周上を2点P,Qが反時計まわりにそれぞれ速さm,1で動き,点Rは時計回りに速さ2で動くときに,△PQRが直角二等辺三角形になる時間t(0≦t≦2π)と,m(1≦m≦10を満たす整数)の組を求める問題。Q,Rは速さが確定しているので,OQ⊥ORとなる条件からtの候補を絞り,PRは直径の両端となることから整数mを考えればよい。似たような作業を繰り返すので,計算ミスに注意したい。また,OQ⊥ORとなる条件,PRは直径の両端となる条件を立式し,tを消去することによって,mの候補が2通りに絞られ,計算量を減らすことができる。他方,最初の立式については,ベクトルの内積を用いるなど複数の処理方法が考えられるので,幾何に関する問題は,複数の解答を作成する練習を普段から心がけるとよいだろう。 |
※「難易度」は,全問題中での相対難易度。東大特講編集部が考える模範解答に対して,合格レベルの人であれば半分程度の答案を作成できると推測したものを「標準」とする。
分野単独の出題が少ない東大入試においても,基本解法は大切だ。「問題の状況を把握するのに時間がかかる問題」「問題の解釈は比較的容易だがいろいろな解法が考えられる問題」「解法はわかっても計算が大変な問題」などが出題されるが,それらどの問題をとってみても,解答するためには基本解法が根底にある。高3の夏前までにはきちんとマスターしておこう。また,基本解法を身につける際には,「なぜ,その解法になるのか」を理解することが大事だ。問題の解釈をして答案を構築していく力を,ここでも身につけることができる。
この3つのテーマは,最近の文系の超頻出テーマ。東大の過去問はもちろん,京大・一橋大などの過去問に積極的に取り組んでおくとよい。
とっつきやすい言葉で表現されていて,一見解きやすいように見える問題でも,複雑な場合分けを要求したり,自明と思われるようなことを論理的に表現することを求められたりしている。最後まで問題を解ききってみないと,どこにその問題の山場が来るのかわからない問題が多いのだ。微積分などの計算の練習という意味もあるが,最後まで解答を書ききるという習慣自体も東大入試数学攻略の対策だ。
東大数学では,解答方針はわかっても答案として発信するのが難しい問題が多くなってきている。答案として発信する力をつけるには,自分の答案を客観視できる力をつける必要がある。といっても最初は難しいので,自分の答案を先生などに添削してもらうとよい。添削を受けているうちに,チェックの観点が身につき,自分でも答案を客観的に見ることができるようになるはずだ。
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