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2008年度
入試速報
東京大学
入試問題の分析と対策

前期文系世界史

■概要

試験時間:(2科目で)150分 大問数:3題

■東京大学の世界史(前期文系)で求められる力

○長文論述では,グローバルな視点で知識を再整理する力が必要。

東大入試では,第1問で500字前後の長文論述が必ず出題される。近年は,複数の時代・地域にまたがったテーマが設定され,史実の歴史的意義などが問われているため,歴史を鳥瞰的にとらえ,因果関係と相互作用を明確にしながら論述をまとめることが必要だ。また,8つ程度の指定語句があることも特徴。求められている要素を問題文から読み取り,知識をテーマに沿って再整理しながら,自分の言葉で説明できる力も求められている。

○幅広い時代,地域,分野の知識が求められる。

第2問,第3問の小論述や記述問題でも,時代や地域をこえて知識を問われるのが東大入試の特徴。必要な知識は教科書や用語集レベルだが,地域間の接触・交流や,異なる地域が歴史的にもつ類似性と相違性などがテーマとされやすい。どの時代,地域についてもまんべんなく知識を整理し,歴史のタテの流れだけでなくヨコのつながりを理解しておくことが必要だ。

■最近6年間の出題状況
地域 2008 2007 2006 2005 2004 2003






































■最近6年間の出題状況
分野 2008 2007 2006 2005 2004 2003































※○は1題,◎は2題以上の大問でその地域と分野が問われたことを示す。

■2008年度入試の特徴

○基本的な知識と幅広い視野,論述をまとめる構築力が問われた。

今年度は第1問と第2問が論述問題,第3問が単答問題と出題形式が明確に分かれた。第2問・第3問とも世界史の確かな知識が必要とされ,例年より平易な問題となった分,知識の差が明暗を分けることとなった。第1問の論述は,同時代史をグローバルな視点でとらえることが求められた。個々の事項の因果関係や相互作用をどう組み立てるか,論述答案の構築力が問われた。

○論述問題は19世紀以降の近現代の比重が高まった。

今年度の対象地域は,アジアとヨーロッパに集中していた。アフリカと中南米がまったく出題されず,近代以降の欧米とアジアの関係や接触が重視された。第1問と第2問の論述問題はどちらも近代以降の内容で,とりわけ19世紀以降の国際関係史をテーマに出題された。昨年度と異なり社会経済史の出題はなかったが,この傾向が継続されるとは思えない。幅広いテーマへの関心を失わないようにしたい。

■2008年度 大問別出題分析
大問 出題地域/分野 難易度 内容と求められた力

標準

大英帝国を軸に19世紀中頃の同時代史を巨視的にとらえる問題。

行数は昨年度より1行増えて18行に,指定語句も昨年度より1つ増えて9つになった。数十年間のスパンで複数の地域にわたって問う形式は,05年度「第二次世界大戦後の影響」と同じである。ただし,パクス・ブリタニカというテーマそのものは,すでにその盛衰が96年度の第1問で出題されていた。「対抗した」という条件が一緒だが,今回はかなり時代が限定されたため,空間が一層広がって比較的グローバルな視点が要求されたと言えよう。東方問題を軸にヨーロッパとオスマン帝国で一つ,アジア全般の状況でもう一つのグループとする。指定語句の一部は答案の中での使い方のパターンがいくつか考えられるため,使い方次第で様々な答案の展開がありうるだろう。

(1)易
(2)やや難
(3)易

領土と境界の画定について,近現代の知識を問う問題。

例年と同じく最大4行の論述が4題。行数は3年続けてトータルで12行以内。内容は,東アジアと中東地域とヨーロッパのいずれも国際関係史。問われていることが経緯や説明なので,必要な用語が盛りこめていれば大きく失点することはない。ただし,問(2)は戦間期の中東の様子を理解しているかが重要となる。また,1967年の第3次中東戦争の説明は,原因よりも結果として領地がどうなったのかを述べたほうが,大問の主旨に合うだろう。石油戦略が発動された第4次中東戦争と勘違いしないように注意したい。

やや易

道路や鉄道など交通の役割をテーマに基本事項が問われた。

交通の役割とからめて,欧米やアジアの基本的な事項が問われた。テーマ自体は最近頻出で,第3問の類題だけでも,過去に05年度「モノを通じた交流の歴史」や03年度「交通手段の発展による人や物の大移動」などがある。問(6)の解答の「ジャムチ」は03年度にも問われた。東大の場合,似たような問題が繰り返されるので,過去問を丁寧に学習することが欠かせない。全体的に問われている用語は平易なものが多く,東大受験生なら全問完答できるはず。問(3)の「サンチャゴ=デ=コンポステラ」は,巡礼路を含めて世界遺産として有名。

※編集部が考える模範解答に対して,合格レベルであれば半分程度の答案を作成できると推測したものを「標準」とする。

■合格に向けての対策

○幅広い時代,地域,分野に関する知識を身につける。

どの時代,地域,分野についてもまんべんなく知識を身につけるためには,教科書の熟読が必要。その際,教科書の本文だけでなく脚注や地図,写真などには必ず目を通し,巻頭・巻末や各章のトビラ,コラムにも注意しよう。また,今年度は出題されなかったが,第3問でよく見られる事項説明型の小論述に対応するためには,用語集で用語の説明文を確認しておくことも重要だ。

○出来事の流れや因果関係,相互作用を意識して学習する。

東大入試においては,史実の原因・結果や影響が必ず問われる。単にひとつひとつの事項を覚えていくのではなく,常に「なぜ」という視点をもって事項の関連性を意識しながら学習することが必要だ。上記のように教科書を読む際にも,必ず背景や原因から,展開,結果とその影響までを意識しよう。また,論述に欠かせないグローバルな視点を身につけるには,資料集などの地図や年表を活用するとともに,東大の過去問を複数年度にわたって解くことが非常に有効だ。

○文化史・社会経済史にも要注意。

論述,記述問題ともに,政治史だけでなく社会経済史や文化史も重視されている。各時代の政治史の流れを押さえたのちに,社会や経済の特徴をまとめておくと有益だ。また経済史では,「世界商品」と呼ばれる銀,香辛料,茶,綿などが論述のテーマになりやすいので要注意。頻出の文化史では,政治史との関わりや,異なる文化圏相互の関連について問われることが多いので,それらを切り離さず,関連性を意識して学習しよう。

○限られた時間の中で,ポイントを押さえた文章をまとめるトレーニングを。

厳しい制限時間の中で第1問のような論述を仕上げるには,書くべきポイントを見抜いて短時間で文章をまとめていく力が求められる。指定語句から書くべき内容を連想して要素をグルーピングし,情報の取捨選択を行ったうえで,時間を意識しながら文章を構成していくトレーニングを積んでいこう。このような,東大の論述に対応するためのテクニックは,進研ゼミ東大特講『「ベクトル的視点」で攻略する東大世界史』で学ぶことができる。また,東大だけでなく,同様に論述を課す京大や一橋大などの過去問にあたることも有効だ。

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