東大・京大合格戦略ブログ

9人の√T√Kブレーンの視点

東大・京大合格者を多数輩出する全国の難関高校教諭陣が、合格の秘訣をテーマ別に複数の視点で切ることで多角的に語る。ほぼ毎週更新

森 英人 先生(中央大学横浜山手中学校高等学校)

現職、中央大学横浜山手中学校高等学校 教頭。 2009年度まで聖光学院中・高等学校で数学教師として教鞭をとる。今までに東大へ送り出した教え子は500人を超える。東大をはじめとした最難関大の数学を知り尽くし、生徒からの信頼も高い。東大特講√T・京大特講√Kの『東大数学』の執筆でもおなじみ。

『こんな人に東大に行ってほしい!』

社会で活躍できる力を身につけた奴がおのずと合格へも近づいていく

今回のテーマは「東大を卒業した後、社会で活躍できる人に東大へ行ってほしい」と言い換えられると思う。
社会に出てから活躍できる人とは世の中が求めている力を備えている人と言えるだろう。
そこで、「大学や大学院を出て就職する学生に世の中が何を求めているか」を知るところから話を始めよう。

 

■社会が求める3つの力はどのように養われるか?
日本経団連の社会調査(※)によると、企業が新卒採用の際に重視するのは“コミュニケーション能力” “協調性”“主体性”の3つの力要素なのだという。
実は、この3つは東大に入ったからといって、急に身につくものではないよ。
本当は高校生までに身についていなければいけないものなんだ。
また、これらは「受験勉強さえしていれば養える」というわけではない。

“コミュニケーション能力”や“協調性”について言えば、日ごろの生活の中で「友達を大切にする」とか、「他人の苦労や優しさを自分のことのように感じ取る」とか、そういった感情や経験から培われるものだ。
これらを備えていない人間は、たとえ東大に入学できたとしても、世の中に出てからは困難にぶつかると思うよ。
そもそも、他者に対する思いやりのない人が企業のトップに立っちゃったら、社会全体が困ってしまう。
そして、“主体性”に関して言えば、部活や生徒会活動などの課外活動に身を投じながらも、勉強は絶対に忘れなかったり、自分でやると決めたことはきちんと実行する…そういった姿勢から養われることが多いだろう。

もちろん、受験勉強の中でも主体性は必要だし、グループ学習など、友達に勉強を教えてあげるとか、教えてもらうとかいった関係の中でコミュニケーション能力や協調性も身についてくるかもしれない。
でも、本当は「授業以外の時間を、どう過ごしているか」ということが重要になってくる。

■“授業以外の時間”の過ごし方によって、結果的に受験もうまくいく
私の過去の教え子で、高3の夏までバスケットボールに打ち込んで、東大に受かった生徒がいた。
彼は東大合格のほかにも、バスケの全国大会もめざしていたから、高1からタイムスケジュールを組んで「ここまでに、この目標を達成する!」と計画を立てていた。
例えば、「部活を続けながら高2で選抜クラスに入るために、この定期試験で結果を出さなければいけない。そのためには、自分はどのくらい勉強しなければならないか?」といったことを常に考え、それを実行していた。

例えば、彼が所属していたバスケ部は土日も試合ばかりだったけど、月曜日の放課後には必ず私のところに来て、出席できなかった土曜日の授業の内容を全部聞き出そうとしていた。
しかも、試合があったはずなのに、既に土曜日の授業でやった内容がノートに書いてあるんだよ。誰かにノートを借りたりして努力していたんだね。
彼はそうやって主体的に自分がすべきことをこなしていって、見事に現役で東大に受かったよ。
主体性を備えた人は、物事を成し遂げ、実現させる力があるというよい例だと思う。

■東大に合格した後こそが、大切だ
また、もし東大に合格しても「東大に入った」という自己評価だけで、「もう自分は世の中の中心になれる」という思い上がりを持たない人間になってほしいね。
例えば、何かの資格を取ったとしても、その資格をどう発揮できるかが大切だから。
東大合格という社会で活躍するための大きな資格を持っていても、コミュニケーションもとれない、主体性も協調性もない…、さらに言えば、「自分自身をどう活かして、世の中にどう貢献したいのか」というビジョンを持てなかったら、いくら努力しても、きっと後悔する結果になると思う。
皆には様々な機会を生かして自分自身を成長させて、社会で幅広く活躍できる人をめざしてほしい。

※(社)日本経済団体連合会『新卒採用(2010年3月卒業者)に関するアンケート調査結果の概要』による。
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/030.html

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