
001025-T-|haruta|春田 裕之 先生 (海城中・高等学校)
春田 裕之 先生 (海城中・高等学校)
『東大現代文講座』監修。
毎年、東京大学合格者を多数輩出する、海城中・高等学校で国語教師として教鞭をとる。東大国語を知り尽くしたエキスパート。一人ひとりを見守る視線とあたたかい語り口に、生徒からの信頼も高い。
『私の学習へのこだわり』
東大型の問題を読み解くためには、言葉の重みや広がりを敏感に感じられる感性を磨き、想像力を養ってほしい
国語には本来「評論文」「小説」「随筆」「古文」「漢文」など、出題分野がいろいろとあります。
東大を受験する場合に、小説はセンター試験でのみ出題されるため、どうしても軽視されがちです。それに、小説を読むことを苦手にしている受験生も多いようです。
でも、早い段階で小説の文章に触れておくことはとても大事なことなのです。
■小説が養う想像力は、古文や漢文でも大きく生きる
その理由の1つは、「小説を読むことで想像力を養える」からです。
日頃から小説を読んでいないと、自分とは異なる生活を想像するという体験が少なくなってしまいます。だから、想像力が養われない。
しかし、この想像力、イマジネーションがないと、実は古文や漢文の問題が解けないのです。
なぜなら、古文に登場する人たちが生活していた時代は、現代と生活様式が異なっていますし、漢文の中に描かれる世界にいたっては、時代も国も大きくかけ離れているわけですから。
そこで描かれている人物の心情は、文脈の読解と同時に想像力を十分に働かせないと、なかなか読み解くことはできません。
■言葉を的確に使うことができる表現力を身につけたい
もう1つの理由としては、小説を読む経験が「端的な解答を求められる東大現代文の記述力を養う」からです。
東大の入試では、評論文において限られた文字数の中で答えをまとめなければならない問題が出題されます。
問題となる傍線部からイマジネーションを広げて、かつ、あちこちに散りばめられた要素を凝縮して書かなければならないため、微妙なニュアンスや重みを反映した言葉を的確に選び取り、自在に使いこなせる表現力が必要になるのです。
その言葉の選び方は、まさに「文学」とも言えるようなものなんですね。
ですから、東大入試で求められる解答は文学に対する感性を大事にしていないとより的確な解答にはなりません。
もちろん、評論文や新聞記事などでも語彙力は強化できますが、言葉の重みやニュアンス、広がりを敏感に感じられるようになるには、やはり小説のような、豊かな心情表現、描写力に満ちた文章に意識的に触れる方がよいのです。
■普段の授業や毎日の生活で出会うすべてのことを大切にしてほしい
「小説を読む経験が足りない」と思うのであれば、この時期ならまだ間に合います。
通学電車の中で単語帳を見るのもいいのですが、少し、小説を読んでみてください。
読む題材はなんでもいいと思います。
新聞の書評で気になった本とか、授業で先生が話題に挙げた本とか、ベストセラーでも古典文学でもいい。
言葉の持っている力に対して敏感になってほしいのです。
高3になると受験を意識するあまり、急に難しいことをやり始める生徒がたくさんいます。難しい問題集に取り組んだり、予備校に通って勉強を始めたりする人もいる。
しかし、難しいことばかりに挑戦するのが、受験勉強ではありませんよ。
1学期のうちは、高校の教育課程がすべて終わっているわけではありません。
普段の授業でやっているすべてのことが新しい勉強になるのです。
ですから、今、受けている授業を大切にしてください。
そして、言葉に対する感性が磨かれるような文章に触れること。
これらをきちんと消化することが、11月以降の力の伸びにつながりますからね。




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